入れ歯にするタイミングは何歳から?
部分入れ歯は早い人で30代前半から
「総入れ歯」は、40~44歳で0.4%の人が使い始めています。その後年齢とともに入れ歯の使用率は次第に増え、85歳以上になると63.9%の人が総入れ歯となっているのが現状です。
ちなみに80歳で20本以上の自分の歯を持っている人は推定値で24.1%。平成5年の調査時は10.9%であったため、この間12年で約2倍以上の人が8020を達成したことになっています。
臨床的に言うと早い段階(20~30歳代)で入れ歯になる場合には、歯周病で歯が抜けるというよりも、10~20代前半に重度な虫歯になっていたり、その虫歯を治療せずに放置していたため、歯が内側からボロボロで治療で歯を残すことができない、といったことが考えられます。そのため思春期頃の虫歯は徹底的に治療してしまうことが大切なのです。
初めての入れ歯で多いのは「部分入れ歯」
奥歯2本が連続して抜歯すると、入れ歯が選択肢に入ってくる
ただし2本だけの入れ歯を作ったものの、反対側が噛めるので取り外してしまうケースもよく見ます。そのため左右2本ずつや、奥から3本もしくは4本の歯が無くなってから本格的に使用するといった人も結構いるのです。
入れ歯のメリット・デメリット
入れ歯のメリット・デメリットには、次のようなものがあります。■入れ歯のメリット
- 入れ歯がない部分でも、何もないより噛める……自分の歯と同じ噛み心地を再現できる訳ではありません。
- 上下間の残った歯が動かない……下に歯がないために上の歯が下がってくるような状況にならずに済みます。
- 発音が改善する……特に前歯周辺に隙間があると息が漏れてしまい、話しにくくなります。入れ歯で隙間を塞ぎ発音が改善します。
- 残った歯の負担を軽減する……全く使わない場合よりも噛む力が歯ぐきに分散され、残りの歯に掛かる噛み合わせの力を軽減します。入れ歯が無いと噛む力が残った自分の歯の一番奥に集中するため、奥歯から順番にぐらつきやすくなります。
■入れ歯のデメリット
- 違和感・異物感……噛む力を歯ぐきに分散させるため、ブリッジなどよりも大きさが大きくなります。さらに「バネ」と呼ばれる針金状のものや金具状のものが残っている歯の表面に巻き付くため、違和感が出やすくなります。
- 取り扱いが面倒……食事中にものが挟まった場合や、就寝前には入れ歯を取り外して、掃除をしなければなりません。
- 入れ歯が痛く感じる……入れ歯の形や噛み合わせの形が合わない状態で使用すると、入れ歯が「あたり」が出て、痛くて使えないこともあります。
奥歯の入れ歯がないと、噛み合わせの力の負担が残った一番後ろの歯に余計に掛かるため、奥から順番にぐらついてくるパターンが多くなります。入れ歯があれば少しでも力を分散できるので、残った歯の負担を減らすことができるのです。
入れ歯はいつから? 入れ歯が必要になるケース
根の大きさも見て欲しい。いかに奥歯の歯が力を分散しているのかが分かる
これらは左右の奥歯ですので、片側なら8本になり、上下のいずれかになると僅か4本。そのうち奥の2本が歯の大きい大臼歯、手前の2本がすこし小ぶりの小臼歯という組み合わせが一般的です。
奥歯が無くなると他の奥歯に噛み合わせの力の負担が集中します。大きな奥歯2本が無くなるかなり厳しい状況。3本になると待ったなし。4本無くなると次は前歯が次々崩壊するといったケースが考えられます。
ちなみに前歯は食べものを噛み切りやすいように上の歯が前、下の歯が後ろになっており奥歯ほど力を受けとめられません。このため前歯だけで、入れ歯なしであごを支えるのはかなり無理が掛かります。力に耐えられず、次々前歯がダメになってしまうこともあるのです。
入れ歯を使わずに済むなら、そうしたいと思うのは皆さん同じです。作ったものの使わずしまっておくケースもあると思います。結局はどこで自分が納得できるかになります。
【関連記事】 ■関連リンク
「自分の歯を残すために…部分入れ歯の正しいケア方法」(PR)