目の病気/飛蚊症

飛蚊症(ひぶんしょう)の原因

飛蚊症の症状が出たら、眼科で検査を受けましょう。飛蚊症の原因はさまざまですが、特に多い3つのケースについて解説します。

大高 功

執筆者:大高 功

眼科医 / 目の病気ガイド

飛蚊症の原因はさまざま。治療が必要な飛蚊症かどうかを見極めることが必要です

飛蚊症の原因はさまざま。治療が必要な飛蚊症かどうかを見極めることが必要です

飛蚊症は比較的よくある目の病気ですが、ごく軽い症状で治療の必要がない生理的なものから、網膜裂孔などの治療が必要なものまで、原因はさまざまです。飛蚊症で眼科に来られる方の原因として特に多い3つの原因を解説します。


後部硝子体剥離による飛蚊症

飛蚊症の原因で最も多いのは「後部硝子体剥離(こうぶしょうしたいはくり)」という病気に伴って発生した硝子体(しょうしたい)の濁りが自分で見えてしまうものです。

例えば焼き魚を食べるときに、魚の目から透明のゼリー状の物が出てくるのを見たことはないでしょうか? これが硝子体で、目の中身のほとんどを占めています。硝子体は「硝子体膜」というふくろに包まれた状態で目の中に入っていて、そのふくろは目の中で網膜(カメラでいうとフィルムにあたる部分)にへばりついています。

硝子体は年々収縮していき、ある年齢になると硝子体膜が網膜からはがれます。これが後部硝子体剥離です。人により若くしてなる人もいれば、歳をとってからなる人もいます。

このとき、後部硝子体膜、すなわち網膜に接している硝子体膜についてきた網膜の細胞が自分で見えることがあり、飛蚊症の原因で多いものの一つです。

網膜からふくろがはがれていくとき、網膜が刺激されてピカピカと光が見えることがあります。暗いところでも光るのが特徴です。不思議に感じられると思いますが、みなさんも目をぶつけたとき、ぴかっと光るように感じられたことがあるかもしれません。私はサッカーをやっていましたが、サッカーボールが目にぶつかってものすごい光を感じたことがありました。網膜はなんらかの衝撃を受けると信号を脳に送りますが、その信号が光を受けたときに送る信号と同様なので、脳が「光っている」と間違って判断してしまうためだろうと推定されます。

後部硝子体剥離と診断されたときの注意点

後部硝子体剥離に伴う生理的飛蚊症と診断された場合、以下の2つの症状に気をつけましょう。もし同様の症状が現れた場合は眼科を受診してください。

■見えていた異物の数が急に増えた場合
1~2個程度見えていた異物が、急に10~20個に増えて見えるようになったら、眼科を受診して再検査を受けてください。後述の「網膜裂孔」が発生している可能性があります。

■光が強く見えるようになった場合

ピカピカ光って見える症状が急に強くなった場合も、「網膜裂孔」が発生した可能性があります。速やかに再受診をお薦めします。

後部硝子体剥離による飛蚊症の治療法については「飛蚊症(ひぶんしょう)の治療法」の最初の項目をご覧ください。

網膜裂孔(もうまくれっこう)による飛蚊症

飛蚊症の原因として2番目に多いのが、先述の「後部硝子体剥離」に伴って網膜裂孔(もうまくれっこう)」が起こっている場合。後部硝子体剥離が起こる時に、網膜の一部と後部硝子体が強く癒着していると、その部分の網膜が強く引っ張られ網膜に裂け目ができてしまうことがあります。これが「網膜裂孔」です。網膜裂孔ができると、そこから眼内の水分が網膜の下にしみこんで行き、高い確率で網膜はく離を引き起こします。

網膜裂孔ができる時は、網膜が裂ける時に網膜の一部が粉のようになって眼内に飛び散ったり、裂け目からの出血が眼内に飛び散ったりするため、後部硝子体剥離のみの場合の飛蚊症よりも強い症状が出る場合が多いです。

網膜裂孔による飛蚊症の治療法については「飛蚊症(ひぶんしょう)の治療法」をご覧ください。


若年性・原因不明の飛蚊症

3番目に多いのが原因不明の飛蚊症。最初に解説した、後部硝子体剥離による生理的飛蚊症は、早い人で30代半ば頃から発症しますが、全国から来られる患者さんと接しているうちに、それよりずっと若い10代、20代といった年齢でも飛蚊症に悩んでいる人がとても多くいらっしゃることがわかりました。

それらの患者さんの硝子体を詳細に観察したところ、高い確率で硝子体に混濁があることを発見し、硝子体の前部や中部にある場合が多いですが、おそらくこの濁りが自分で見えてしまっているのだと思います。

自分の飛蚊症の原因を正しく診断してもらった上で、治療をするかどうか、また、適切な治療法を選択する必要があります。

若年性・原因不明の飛蚊症の治療の考え方については「飛蚊症(ひぶんしょう)の治療法」の後半をご覧ください。

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