きちんと見えるための3条件
良好な視力・視野・両眼視機能が揃って、初めて「見る」ことができます |
1.良好な視力がある
2.良好な視野がある
3.良好な両眼視機能がある
この3つが揃っていて初めて、しっかり物を見ていると言うことができます。
1.良好な視力=良好な矯正視力
視力とは、簡単に言うと「視界の中心で、小さいものがちゃんと見分けられる」力のです。視力には裸眼視力と矯正視力があります。裸眼視力とは眼鏡をかけたりコンタクトレンズを入れたりせずに、素のままで見たときの視力。矯正視力とは、眼鏡をかけたりコンタクトレンズを入れたりして、めいっぱい見えるようにした場合の視力です。
我々眼科医が「視力」という場合は、「矯正視力」のことを意味します。患者さんが視力という場合は、「裸眼視力」を意味している場合が多いです。それゆえに、医師と患者さんの会話がちぐはぐになる場合がしばしば見られます。「先生、私、視力が悪くてよく見えないんです。」「いやいや、測定してみると非常によく見えていますよ。」「いや、ほんとうに見えないんですって。眼科医なのにそんなことわからないんですか?」という風に。
「良好な視力がある」ということは、正確には「良好な矯正視力がある」ということだとご理解ください。我々眼科医は、「矯正視力1.0を含む、1.0以上」をもって、良好な視力があると判断しています。
通常の視力表にあるC型の輪は、ランドルト環(らんどるとかん)と呼ばれています。5メートル用の視力表で2.0のランドルト環が10メートル離れたところで読めれば、視力4.0となります。日本人では2.0ぐらいが最高だと思いますが、以前テレビで見たら、アフリカのサバンナで暮らしている人が、裸眼で視力5.0ぐらいをたたきだしており、非常に驚きました。やはり小さいときから遠くのものを見ていると、視力が向上するようです。
2.周辺部分に欠けのない視野
視界が十分に広く、かつ健全な感度がある状態です。視野が欠けていく病気の代表は緑内障ですが、進行して視野が欠けてきた場合、「物を見るのは問題ないが、左から出てきた車が見えなくて運転が怖い」などと訴える患者さんもいらっしゃいます。視界が欠けるところまで行かなくとも、視野の一部の感度が落ちると、その部分が真っ黒ではないがグレーに見える、とおっしゃる患者さんもいらっしゃいます。
また、視野が欠けていく病気のひとつに網膜色素変性症というのがあります。進行した網膜色素変性症ですと、矯正視力は良好で1.2あるが、視野がほんとうに中心部しかなく、「視力表の0.1の大きな視標は視野が足りないのでどこが開いているか見えないのですが、逆にCが小さい1.2の視標は見えます」というような方もいらっしゃいます。
3.バランスのよい両眼視機能
両眼視機能は、みなさんが普段最も意識しないものかもしれません。両眼視機能とは、両目で同じものをちゃんと見ているという機能で、同時視、融像、立体視という3段階があります。
普通の人は両眼視機能が幼少時、具体的に葉6歳ぐらいまでにしっかり発達しているので、両眼視機能の中で最高位である立体視、すなわち遠近感を感じる機能が備わっています。片目を閉じて右手の人差し指の先と左手の人差し指の先をくっつけてみてください。ずれて失敗することが多いでしょう。
次に両目を開いてくっつけてみてください。いとも簡単にできたなら、あなたの立体視は正常の可能性が高いです。幼少時から斜視があって両眼でしっかり物を見ていなかった場合などは、立体視がない場合があります。
これら3つの機能が完璧に備わっているというのは、本当にありがたいことです。一方で目にはかなりの余力がありますので、全ての機能が完璧でない方でも日常生活は問題なく行えている場合が多いので、差別のないようにお願いいたします。しかし逆に、これらのうちどれが大きくかけても日常生活に問題が出る場合があるのも事実です。そういう方をみんなで助けていきたいものですね。
続いては、よくある目の病気についても理解を深めましょう。
⇒ よくある目の病気一覧 >>
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