疲れを感じるのはなぜ?
日常生活に支障のあるほどの疲れは要注意! |
疲労とは、『過度の肉体的、精神的な活動により生じた、独特の病的不快感と休養を求める欲求を伴う身体機能の減退状態』のこと。疲労は、過激な運動や精神作業を禁止して、早急に休息を取るように呼びかける内部警告といえるでしょう。(参考:『疲労の科学』(井上正康・倉恒弘彦著))
疲労には、休養したら改善する原因が分かりやすい疲労と、他の病気が原因で生じる分かりにくいものがあります。休養したらすぐに改善する疲労は特に問題ありません。しかし、休養しても改善しない疲労は要注意。貧血や悪性腫瘍など、他の病気が隠れていることもあります。冷え性や不眠などがあり、2次的に疲労が起こることもあります。
疲労はどのようにして起こるのでしょうか。
少し専門的なお話になりますが、無理していると脳が感じ取ると、意識の覚醒や注意力を保つのに重要な働きをしている脳幹綱様体へ伝えられます。次に自律神経の中枢である視床下部や、食欲、性欲などの本能や感情をつかさどる中枢である大脳辺縁系へ情報が伝わります。そしてさらに、運動やら五感をつかさどる中枢である大脳皮質へと伝わります。ここで判断された情報は、中枢神経から自律神経、免疫系、内分泌系に変化をもたらすのです。(参考:『疲労』(掘史郎著))
また、人のからだは、自律神経システム・エネルギー代謝システム・免疫システムの各システムが機能しています。「疲れにくい」ということは「体力がある」ということ。活動のエネルギーが豊富という意味の「攻撃的な体力」は、エネルギー代謝のシステムが担い、病気にかからないという意味の「防衛的体力」は免疫システムが担っています。そして自律神経のシステムは、両者のコントロールタワーになっています。この3つのシステムがうまく機能することが、「疲れにくいからだ」ということになるのです。つまり、この3つのシステムの機能が崩れてしまうことで、疲労を感じてしまうのです。(『疲れをためない生き方』(安保徹著))
慢性疲労と慢性疲労症候群
慢性疲労といわれる状態では、疲れが半年以上続くこともあります。ただ、これは日常生活に特に支障をきたさない程度の、ごく軽い疲労症状です。通常の疲労なら休養を取ることでこの部分の疲れも解消されますが、慢性疲労の場合は脳の疲れは解消されず、脳のほかの部分も機能が低下してしまうことが分かっています。
布団から起きられない、家事や仕事もできないなどの日常生活を送ることが難しいほどの疲労を感じる場合は、慢性疲労症候群の可能性があります。診断基準としては、6ヶ月以上継続的あるいは断続的疲労を主訴とし、微熱、関節痛、筋肉痛、咽頭通などを副症状とするものです。
最近の調査では、なんと6割の人が疲労を感じ、その半数が過労状態であるといわれています。現代社会では、疲労はごく身近なものなのです。
放置するとさまざまな症状が伴う疲労。あなたは大丈夫ですか?
さっそく、あなたの疲労度をチェックしてみましょう。
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