大惨事を引き起こした睡眠不足
座礁して原油を垂れ流すエクソン・バルディーズ号 |
この事故では船長の飲酒が批判されましたが、本当の事故の原因は睡眠不足です。事故当時、船長から船の運行を任されていたのは、3等航海士でした。彼は極度の睡眠不足で、前の48時間に6時間しか眠らずに勤務していました。
座礁事故が起きる前に、見張りから航路の異常を示す警報が2度も出されました。しかし船の舵を取る3等航海士はこのことに反応せず、航路が大幅にずれていることに気が付いたときには既に手遅れでした。
この3等航海士は極度の睡眠不足のため、見張りからの警報が出たときにマイクロスリープが起こってしまい、重要な情報を聞き漏らしたか、聞いても理解できなかったものと思われます。その結果、被害総額数十億ドルもの大惨事になってしまったのです。
船の事故は少し特殊な例ですが、自動車の運転や危険を伴う作業中にもマイクロスリープが起こる可能性があります。そして信号を見落としてしまうと、大変不幸な結果になることがあります。最近では、自動車の追突事故の原因の1つとして、マイクロスリープが重要視され研究が行われているほどです。
マイクロスリープのとり方・いかに瞬間的に眠るか?
マイクロスリープをとるときには、チョット気をつけてくださいね |
マイクロスリープは、これ以上の睡眠不足が続くと脳が壊れてしまう、という危険信号でもあります。ですから、自然にマイクロスリープが起きる前に、意識的に眠る必要があります。
また、マイクロスリープが起こると、ごく短時間ですが外界からの情報が遮断されます。ですから、車の運転中や機械の操作中などの危険を伴うときには、自分からマイクロスリープを起こしてはいけません。周りと自分の安全を確保してから、マイクロスリープに入りましょう。
眠る前に起きる時刻を意識しておくと、ほぼ時間通りに目が覚める確率が高まります。電車の中で居眠りしても、降りる駅につくころに目が覚めるのがこれです。ですから、マイクロスリープに入る前にも、「一瞬眠ったあと、すぐに起きる」など念じて下さい。
姿勢は、椅子に普通に腰掛けて行うのが良いでしょう。横になっていては、本当に眠ってしまいかねません。マイクロスリープの達人は、電車のつり革に掴まったまま眠っていますが、初心者が立ったまま行うのは危険です。
目が覚めたら、すぐに体を動かしましょう。不眠記録のガードナー君も、バスケットボールなどで体を動かして、眠気を追い払っていました。スポーツまでしなくても、その場でストレッチングを行えば、血液の循環が良くなって、目覚めがスッキリすることでしょう。