睡眠/理想の睡眠環境・寝室・ベッド・生活習慣

睡眠環境の整え方…理想の寝室の温度・湿度、寝具の選び方

【医師が解説】眠れないときや寝つきが悪いと感じる時は、寝室環境を整えましょう。快眠のために大切な寝室の温度や湿度、明るさ、音の目安や、布団や枕、ベッド、マットレスなどの寝具の選び方など、ぐっすり眠る手助けになる環境の整え方を解説します。

坪田 聡

執筆者:坪田 聡

医師 / 睡眠ガイド

理想的な睡眠環境とは

寝室は、人生の3分の1を過ごす場所です

寝室は、人生の3分の1を過ごす場所です

グッスリ眠ってスッキリ目覚めるためには、睡眠環境を整えることが大切です。今回は、理想的な寝室の条件をご紹介します。
 

寝室の温度・湿度・明るさの目安

■ 温度・湿度
裸で眠るときは室温29度、湿度50~75%で、最も安定した睡眠が得られます。夏に寝具を使って眠る場合には、室温26度、湿度50~60%が望ましく、28度を超えると睡眠の質が低下します。

冬でも寝具をきちんと使えば、室温が3度以上なら睡眠に影響がない、という報告もあります。しかし、睡眠感が良いのは16~19度です。これらのことを合わせると、1年を通して室温16~26度、湿度50~60%に保つことが、良い眠りのための条件です。

■ 明るさ
眠る前に500ルクス以上の光、特に青白い光を浴びると、睡眠ホルモン・メラトニンが減ってしまいます。そのため、眠る1~2時間前からは、やや暗め白熱灯のもとで過ごすと、寝つきが良くなります。睡眠中の照明は、暗いほど良いのですが、真っ暗だと不安な人や、トイレに起きた時の転倒が心配な時は、豆電球のフットライトを点けておくと良いでしょう。

朝は、2,500ルクス以上の強い光を浴びると、目覚めがスムーズになります。特に、起床時刻の30分前から徐々に明るくしていくと、スッキリ目覚められます。寝室の照明にタイマーが付いていれば、眠る前にセットしておきましょう。目が覚めたら、カーテンを開けて太陽の光を浴びたり、できれば外を散歩すると、さらに効果的です。

■ 音
40デシベルを超えると、睡眠に悪影響が表れます。つまり寝室には、図書館並みの静けさが必要ということです。壁にあるスイッチを操作する音もこのレベルですから、明かりを点けたり消したりするにも、注意が必要です。

人は、連続して聞こえる音には慣れやすいので、少しくらいの音は気にせず眠ったほうがよいかもしれません。ただし、突発的な音で血圧や脈拍数が上がることがありますから、高血圧の方や高齢者では気をつけてください。

部屋の外から大きな音がする場合には、カーテンを厚手のものにすると良いことがあります。室内の電気器具の音がうるさければ、静かなタイプのものに変えたり、家事をする時間帯をずらすなどの工夫をしましょう。最後の手段として、耳栓があります。目覚まし時計のアラームが聞こえることを、確認してから使いましょう。
 

快眠できる布団・枕・ベッド・マットレスの選び方

■ 布団・枕
寝具は、本当に自分に合ったものを、選びましょう

寝具は、本当に自分に合ったものを、選びましょう

人の体と寝具の間の環境を、「 寝床内気候 」 といいます。この寝床内気候が、温度32~34度、湿度45~55%のときに、最もよく眠れます。この温度・湿度を保つために、季節に合わせて掛け布団を調節しましょう。

また、寝床の中の熱は、掛け布団からよりも、敷き布団からのほうが多く逃げていきます。冬に暖かく眠るためには、敷布団を増やしたり、肩や首をスッポリ覆うことも大切です。

「 枕が変わると眠れない 」 といわれるほど、枕は睡眠にとって重要なアイテムです。枕で最も問題になるのは、高さです。自然な首のカーブが、睡眠中も保たれていることが、良い枕の条件です。他にも、寝返りがスムーズにできるほどの横幅や、中身の素材の種類と量にも注意してください。

最近では、枕の専門家であるピローフィッターがいる店が増えてきました。自分でよく分からないときには、一度、相談してみるのも良いでしょう。

■ ベッド・マットレス
映画で見るような、ふかふかのベッドに憧れる人もいるでしょう。でも、毎日眠ることを考えたら、マットレスにはある程度の硬さが必要です。柔らかすぎるとお尻が沈み過ぎて、腰痛の原因になったり、自然な寝返りが妨げられたりします。逆に硬すぎると、体のアチコチが痛くなり、寝ているだけで体が疲れてしまいます。

また、ベッドの幅が狭過ぎると、安心して寝返りができません。一晩に30~40回もしている寝返りを、スムーズに行うためには、100センチ程度の幅が必要です。
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