鹿肉が注目されるもう一つの理由

鹿肉が注目されるのは、ヘルシーというだけではありません。近年、シカが増え、農家には大きな悩みになっていたのです。以前から北海道は天敵がいないため増加したと聞いていましたが、丹波市の県森林動物研究センターによると温暖化で積雪量が減り、以前なら冬越えができない子鹿が冬越えできるようになったこと等が原因でシカが増えているそうです(朝日新聞 2010年3月2日付け)。

シカは、若木や新芽、稲を食べるため森林や農産物の被害があり、地域にもよりますが億単位の額にもなる深刻な問題です。またシカは、ジャンプ力もあり、イノシシ用の柵では役にたたず、様々な設備を用いることは、農家の大きな負担となっているのです。

自治体は猟友会などに捕獲を促していますが、これまでは捕獲されたシカはほとんど廃棄されていました。というのは鹿肉は、一頭からたくさんの肉が取れないため流通しにくかったのです。また鹿肉を扱う難しさもありました。シカは仕留めてすぐにうまく十分に血抜きしなければならないと言われ、猟も解体処理にも高い技術が必要なのだそうです。

農業や森林を守り自然と共存できる適正な生息数にするためとはいえ、せっかく生きている命を奪うわけですし、そのまま無駄に捨ててしまわずに命を大切にいただくこと、また地域振興にも繋げていきたいという思いで、全国各地で安全で安定した流通に必要な体制作りや、自治体の衛生管理マニュアル作成、メニュー開発や試食会の実施など、積極的な取り組みが進んでいます。農林水産省でも全国共通のマニュアルを2010年度中にまとめて食肉利用を推進して行く方針です。

現在の鹿肉のお値段は、部位にもよりますが、100g当たり400円前後。今後は、私たちの身近なお店でも購入できるような日が来るかもしれませんね。

■参考
食肉を介するE型肝炎ウイルス感染事例について(厚生労働省)
信州ジビエ(長野県)


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