魚の中でも最速で泳ぐといわれるカツオ
カツオに含まれる栄養素や成分
近年はあっさりとした初鰹よりも、秋に南下する脂ののったもどり鰹の方が人気のようです。初鰹ともどり鰹の栄養価を比べる(食品成分表)と、タンパク質はほぼおなじでも脂質は0.5gと、6.2gと10倍も異なり、カロリーも50kcalほど初鰹が少なめです。味の好みはそれぞれでしょう。カツオは、良質のタンパク源であり、特に血合いにはビタミンB1や、ビタミンB6、B12、ナイアシンなどのB群、鉄分などのミネラル類を多く含んでいます。
ビタミンB群は、糖質や脂質、タンパク質をエネルギーに変えるためには欠かせない栄養素。カツオのたたきなどによく使われるタマネギやニンニクには硫化アリルが含まれ、ビタミンB1の吸収を促します。味だけでなく栄養面でもよいとりあわせです。
他にも血行をよくするEPAや脳の働きを活性化すると言われるDHAなどの不飽和脂肪酸、血圧や血中コレステロールの低下作用で知られるタウリンなどが含まれています。
疲労回復に役立つと注目の成分は?
近年は、カツオなどに含まれるアミノ酸の一種「アンセリン」に、疲労を軽減する効果があることがいくつか報告されています(焼津水産化学工業など)。アンセリンは、アミノ酸が2個結合したジペプチドで、カツオやマグロ、サケ、サメ等の運動能力が高い生物の筋肉中に広く分布していると言われています。疲労とどのように関わっているかというと、筋肉中で使い切れなかったエネルギーが乳酸として筋肉中に蓄積するのを減らす効果があると考えられています。
またアンセリンには抗酸化作用が強く活性酸素を除去する、血中の尿酸値を低下してくれる作用なども報告されています。
カツオだしを活かそう
カツオに含まれるアンセリンというアミノ酸が疲労回復に注目されています
また鰹だしには抗酸化作用が強く、魚の生臭みなどを抑える働きがあるという報告(焼津水産化学工業)もあります。
忙しい生活をしていると、鰹節からだしをとるのは面倒と思う人も多いかもしれませんが、時間がない時は、あらかじめだしをとらずに、野菜を煮ながら直接鰹節を入れたりしながら使うこともできます。おひたしにちょっとけずり節などをのせても旨味が加わりますし、旨味を効かせることで塩分を抑えられます。あまり難しく考えずに鰹節のよさを見直して使いたいものです。
ただし、疲労回復にはバランスのとれた食事や十分な休息、精神面のリフレッシュなども必要です。単純にカツオを食べたり、鰹だしを使うだけで、疲労回復がすべて解決できると過剰な期待はしないようにしましょう。
■参考
・料理における鰹だしの抗酸化効果(焼津水産化学工業株式会社)
・アンセリン(焼津水産化学工業株式会社)