知ることで行動が変わる
林 よくこのゲームをして、「お取り寄せはしてはいけないの?」という質問を受けるんですけど、「遠い所から輸送したら環境に負荷をかける」ということを知っているかどうかが大切なんです。1人を1kmはこぶ時にでる二酸化炭素の量 |
南 ハレとケのバランスですよね。毎日の食事をすべてお取り寄せしてたら、負荷が大きくなってしまうけれど、「絶対にお取り寄せをしてはいけない」と言っているのではなく、負荷があることを知ることで、日常はできるだけ近隣の旬のものを選び、たまには楽しみとして「お取り寄せ」をするというように、わかって行動を変えていくということですよね。
私も、「車」はもう乗らないでおこうかなとよく考えるのですが、これから親の介護をする時期があると思うと、やはりまだ必要かなと思います。できるだけ普段、自転車で行けるところは自転車でいき、自転車も電車もバスもいきにくいところには車も使う。また将来的に可能であれば、お友だちとカーシェアリングもできればよいなと思っています。
林 その通りなんですよ。そういうふうに事実を知っていることと、知らないというのではまったく行動が違います。現代の暮らしでは、食品はお金をだして簡単に交換できるものだと思っていて、その裏側にはどんなことがあるのか、なかなか見えにくいですよね。このゲームを通じて社会とのつながりを感じる、せめて何か心にひっかかるものを残せればいいなと思っています。
使う人の数だけ伝え方がある
南 生ゴミの問題等、まだまだこのゲームに加えて行けそうですね。林 そうですね。例えば食品表示やコールドチェーン、ハウス栽培とか、いろいろとテーマはあるのですが、あまり広げすぎても散漫になって心にひっかからないようでは困ります。ですからあえてこれくらいにとどめていますが、使う人の数だけ伝え方があるゲームだと思います。
南 とても好評で、貸し出しの申込が殺到しているそうですね。
林 はい、来年の春まで予定がびっしりです。学校の現場には予算がないので、送料やご寄付の御願いだけで貸し出ししていますが、使うたびに傷んでしまうので、メンテナンスが大変なことが悩みなんです。今はあおぞら財団から貸し出しをしていますが、各地域ごとに、地域の特性を盛り込んだゲームを、様々な人がかかわり合って作っていくように、広がってほしいです。
南 土地の歴史や風土等、どんどん地域性のあるゲームができるとよいですね。そしてゲームの普及を通じて、たくさんの人たちの買物スタイルを少しずつでも変えていきたいですね。今日は、よいお話を伺えてたいへん勉強になりました。ありがとうございました。
食べることは、私たちのいのちをつなぐこと。そんな大切な食への関心事が、健康や美容等にむくのは決して悪くはないのですが、食の背景にはもっともっと幅広い問題があることも知っておかねばなりません。そして日々楽しく暮らしながらも、何かできることから、私も行動を変えていきたいと思います。
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