食と健康/「食」の安全・社会問題・ニュース

地鶏の養鶏場と加工現場をレポート(3ページ目)

食品の偽装ニュースで騒々しい昨今。食べ物の生産現場を見ることで、食が様々な社会の問題につながっていることを知ります。養鶏家と鶏肉加工の現場をレポートします。

南 恵子

執筆者:南 恵子

NR・サプリメントアドバイザー / 食と健康ガイド

生き物を商品化することの難しさ

ヒヨコ
少し羽が生え始めたヒヨコたち。
この後、よつ葉さんの契約する養鶏家の一軒である小坂さんの養鶏場へ。小坂さんの養鶏場では、ロードアイランドレッドという鶏種の指定地鶏を、non-GMO(遺伝子組み換えをしていない)トウモロコシを主な飼料に、鶏舎でのびのびと80日以上肥育されています。

生後1週間程度のかわいいヒヨコも拝見しました。ヒヨコは、すでに羽が生え始めていますが、かわいらしいく、他の品種と比べて足が長いのが特徴。いつかはこのヒヨコも、私たちがいただくんですね。

ヒヨコは、だいたい摂氏30度の温度を維持したところで育てなければならないので、夏は扇風機、それ以外の時期はストーブが欠かせないそうです。寒さに弱いヒヨコに対して、成熟した鶏は熱さに弱く、近年の夏の暑さが厳しく長いことは健康管理をする上ではたいへんなことだそうです。

養鶏家の生活を圧迫する飼料の費用

平飼い
地鶏は、ゲージではなく、のびのび動けるように育てられています。
今の養鶏家の方の一番の心配は、飼料の問題です。バイオエタノールの普及にむけて飼料の値段が上がり、豚肉や牛肉の値段にも響いていますが、もちろん鶏の餌も同様です。経費をさしひくと生活が苦しく、養鶏家をやめて勤めだす人たちも増えているそうで、さらにnon-GMのコーンにこだわるのは、入手することからして厳しいものがあります。

養鶏家の方だけではありませんが、私たちの命をつなぐために必要不可欠な食べ物の作り手である生産者の方が続けられない、またその労苦が報われないような日本社会ってなんなんだろうと考えさせられました。

私たち日本人の多くは、食べすぎや偏った食べ方から肥満の傾向がみられ、生活習慣病の原因の一つとなっていますが、一方で食べられないまま捨てられる生ゴミも問題になっています。信頼できる生産者がよいものを作ってくれるなら、もう少し価格があがっても、よいものを少しだけ、むだにしないようにいただくことになり、それは食べ過ぎを控えて健康を維持することにもなるのではないかと思います。

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