食事バランスが身につく食育お弁当箱とは?(3ページ目)

事業そのものが健康創造であり食育

南　社内でも、こんなに評価されてびっくりされたでしょうね。

新村　社内で反対された、その課題をクリアしててきたからこそ、ここまで評価される「おべんとう丸くん」に仕上がったとんだと思います。これからも、景品としての配布は続けるつもりですし、もっともっと使いやすくなるように改良も重ねていきたいと思います。

南　まだまだ進化していくんですね、すばらしいです。新村さんの仕事ぶりを伺うと、フジッコという企業風土も見えて来る気がします。

実はフジッコさんについて、私は以前から事業活動にたいへん興味を持っていたのです。創業時から昆布や大豆などの伝統食材を活かしたこだわり商品を提供され、しかも保存料無添加などシンプルで家庭でつくる感覚のものが多く、またカスピ海ヨーグルトの販売、食育活動にも積極的に展開されていますよね。

フジッコのホームページで連載した内容を出版した食育まんが 「フジッコ食育まんが劇場 おしえて! 落合先生　ことわざに見る食育の知恵」 本体1,500円+税金　 発行/レベル　書店販売/ビレッジプレス

新村　現在は健康ブームですが、フジッコは、もともと「健康創造企業」を理念としていまして、お客様の健康に役立つことが事業活動そのものなのです。

例えば現代の食生活は欧米化により脂質の摂取が増えて、植物性食品に含まれているミネラルや食物繊維の摂取が不足しています。フジッコは、まさにこの不足している部分の、昆布や大豆などの伝統食商品をリーズナブルな価格にて提供し続けてきました。

スーパーなどの店頭でも、食事のバランスを目に見える形でわかりやすく表示しようと、「プラス1、GOODバランス」というキャッチフレーズで、フジッコの商品を扱っている場所にパネルを設置し、「ハンバーグ」が今夜のメインなら、どのフジッコ商品をプラスすればバランスのいいメニューになるのか、グラフを用いて表示しています。これを参考にすれば、理想的な栄養バランスが一目瞭然となるようにご提案しています。

南　それは、具体的でたいへんわかりやすいですね。実際の行動につなぐ動線がうまく考えられていると思います。他にも食育活動も積極的になさってますね?

新村　フジッコ本社（神戸ポートアイランド）と東京FFセンターには、多くの方々に利用していただけるオープンスペースがあり、料理講習会や研究会や体験学習会などを開催したり、工場見学も実施して、安全で衛生的な環境を多くの方に見ていただいています

他にも健康に関するフォーラムを開催したり、食育まんがの本を出版するなど、日本の伝統料理と食文化を次世代へ継承していく架け橋としてお役にたてればと考えています。

南　景品作りから始まった「おべんとう丸くん」の開発が、健康作りや食育に真摯に取り組むフジッコという企業姿勢をよく表しているように感じました。これからもよい商品をどんどん提供してください。今日はお忙しい中、お時間をいただいてありがとうございました。
  スーパーのお菓子売り場を見ていると、楽しそうなオマケがついたものなどが、たくさん溢れています。確かに子どもには魅力的ででしょう。でも私は、すぐに壊れてしまうようなオマケをつけるよりも、子どもが口にするものだからこそシンプルで安全な商品を追求したり、本当に役立つモノをつけてくれたらいいのに、と常々思っていました。

新村さんが「おべんとう丸くん」を扱う手は、まるで我が子を愛おしむように感じたのが印象的でした。ひとつの景品を開発するにも「未来に生きる子どものために役立つものを」と、妥協せずに深く思いを込めている新村さんの気持ちが伝わってきます。

今回のお話を通して、自分の行動が、今だけでなく、これから先の時代にどんなふうにつながるのかを考えて行動することは、仕事だけでなく、日々の暮らしでも大切なことだと思いました。


■フジッコ
■ロフト