高温多湿の季節…梅雨・夏に注意すべき食中毒

お腹を押さえるサラリーマン

梅雨のジメジメ感は食中毒菌の繁殖に好環境のようです

気温が高くなり、湿度がぐっと上がる梅雨の時期。ジメジメ気候の始まりと共に活発に繁殖するのが食中毒を引き起こす細菌たちです。

厚生労働省
によると、平成28年に国内で発生した食中毒事件数は、1,139件、患者数20,252名、死者数14名。恐ろしいことに、食中毒により死亡する例もあるのが現状です。食中毒の原因や予防、対策法を学び、梅雨から夏にかけて増殖する食中毒の原因菌を適切に対処しましょう。

肉類や貝類の食中毒が増加…食中毒の原因菌とは?

食中毒の原因菌の種類を見ると、かつては腸炎ビブリオ、ブドウ球菌、サルモネラ属菌が3大食中毒として挙げられていましたが、その割合に変化が見られます。というのも、日本人は魚介類を主なタンパク源としてたため、以前は魚介類と密接に関わる腸炎ビブリオによる食中毒が圧倒的に多かったのです。

しかし近年では、食生活の欧米化により若者を中心に魚離れが進んだため、肉類の摂取増加に伴い、カンピロバクター菌が増加しています。また、カキなどの貝類によるノロウイルスも多く見られます。

現代、日本はカロリーベースで食糧の約4割しか自給できておらず、半分以上を海外からの輸入に頼っています。ということは、それまで日本にはなかった原因菌などに汚染される可能性が出てくる……というわけです。食材の流通が地球規模になるということは、一見豊かなように見えますが、食中毒の広がり方も地球規模だと言えるでしょう。

食中毒を起こす細菌の種類と発症の仕組み

上記で示した食中毒の原因菌は、発症原因や症状によって以下の3つの型に分類されます。食中毒症状を引き起こす仕組みについてご説明しましょう。

1.感染型…サルモネラ・カンピロバクターなど
細菌に汚染された食品を口にすることで、生きた菌が食中毒を引き起こすもの。腸管にたどり着いた菌が腸管内でさらに増殖し、腸管組織に侵入して組織を壊し、炎症を起こします。この結果、腹痛や下痢などの症状が現れ、 ひどくなると血便が出ることもあります。

2.生体内毒素型…腸炎ビブリオ・病原性大腸菌など
菌が腸管内で作り出した毒素により発症します。菌によって作り出す毒素が異なり、症状も様々ですが、主に腹痛、下痢、発熱などが見られます。

3.毒素型…ボツリヌス菌・黄色ブドウ球菌など
食品内であらかじめ細菌が増殖し、産生した毒素を経口摂取することで発症する食中毒で、感染ではありません。中には神経毒作用を持つ、恐い毒素を作り出すものもあります。


家庭で実践できる食中毒予防法…食材・食品の取り扱い方

食中毒の予防3原則は、「付けない、増やさない、殺す」。食中毒3原則を守って、大切な健康を守りたいものです。食品の購入、保存、調理時に注意すべき衛生管理のポイントを解説します。

■購入時
・商品の回転が早く、衛生管理の徹底した店で、新鮮な食品を見極める。
・生鮮食品は買い物の最後に購入し、できるだけ早く帰る。

■保存時
・要冷凍、要冷蔵の食品は、帰宅後すぐに冷凍、冷蔵庫へ。
・冷機が回らないため、冷蔵庫は詰めすぎない。
・低温で増殖できる食中毒菌もいるため、食品は長期保存しない。
・庫内の温度が上がると菌の増殖するため、扉の開閉には気を配る。

■調理前
・食材は洗えるものは流水でよく洗う。
・手、まな板、包丁などの調理器具はこまめに洗う。
※同じまな板を洗わないまま、複数の食材を扱うと二次汚染になってしまいます! 特にまな板は包丁のきず目に細菌がたまりやすいため、熱湯消毒を小まめに行いましょう。

■調理中
・食材は室温に長時間放置すると、眠っていた菌が増殖を始めるため、直前まで冷蔵庫で保管しておく。
・75度で1分間以上加熱し食品の中心部まで熱を通す。
※ほとんどの食中毒菌はこれで消滅します。

■食事
・できるだけ作り立てを食べる。
・作り置きのものは、必ず冷蔵、または冷凍保存し、食べるときには必ず十分に温める。
※家庭で作り置きをする代表的な食品が「カレー」です。カレーは寝かせ方を間違えると、ウェルシュ菌食の温床になってしまう恐れがあります。ウェルシュ食中毒の症状や対策法については、「一晩寝かせたカレーも危険?ウェルシュ菌食中毒とは」を併せてご覧下さい。

■食後
・調理器具や食器などはできるだけすぐに洗い、調理台や三角コーナー、シンクなども毎日洗浄し、清潔な状態に保つ。
・残った料理は手をつける前に分けて、必ず冷ましてから冷蔵庫へ。
※ラップで包むのを忘れずに……!

たまねぎ、梅干、お茶…食中毒対策に役立つ食材をご紹介

生で魚介を食べるお寿司にはワサビやショウガ、寿司飯には酢が使われており、これらに含まれている成分には殺菌作用があります。伝統的な食べ物には、単に美味しいというだけではなく、安全性を考えた食べ合わせが経験的に伝えられています。

ここでは、食品中に含まれている食中毒対策に役立つ殺菌作用のある成分をご紹介しましょう。

■アリシン
にんにくやタマネギ等に含まれている「アリシン」という成分には、殺菌作用や細菌の繁殖を抑える働きがあります。アリインと呼ばれるアミノ酸にアリナーゼという酵素が働くことで生成されます。酵素は熱や酸、アルカリに弱いと言われています。動物レベルの研究では、ニンニクがコレラ菌に対して強い殺菌力があり、チフス菌、赤痢筋、大腸菌、ブドウ球菌などを抑えるという報告があります。ただし、ペニシリンほどの強い殺菌力はないとも言われています。

■酢酸・クエン酸など
梅干しに含まれている成分は、「クエン酸」などの有機酸。また酢にも「酢酸」が多く含まれ、抗菌作用があります。ミツカンのサイトでは、サルモネラ菌、腸炎ビブリオ、O‐157などにも高い抗菌作用があるという報告が紹介されています。

■カテキン・ポリフェノールなど
お茶含まれる苦味の成分「カテキン」は、黄色ブドウ球菌や腸炎ビブリオ菌に対して効果があるといわれています。また、ココアに含まれている「ポリフェノール」は、O-157やピロリ菌の増殖を防ぐという報告があります。ショウガの辛み成分であるジンゲロンとショーガオールなどにも、防腐力があります。

他にもクレソンやセージ、ペパーミントとなどのハーブ、スパイス類も有効な成分が含まれています。ただし、食品としてどれくらいの量を食べれば有効かというのは、現実的な量でないものも多く、誰にでも万全なものではありません。

暑い時期には、できるだけ生ものは食べない、そして抵抗力をつけるためにも、冷たいものを食べ過ぎたりしない、カラダを冷やさない、腸内環境を整えておくことなども大切なことです。

■関連リンク
食中毒に関する情報(厚生労働省)
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