ワサビとカラシ、大根おろしの辛み成分
実はワサビもカラシも大根も、全てアブラナ科の植物で、なんと、この3つの辛み成分(大根の場合は大根おろし)はほぼ同じ。今回話題のアリルイソチオシアネートです。でも、共通項はすりおろすこと。なぜなら、細胞内にあるシグリニン配糖体と、ミロシナーゼという酵素が反応して初めてアリルイソチオシアネートができるから。
そう考えてみると、ワサビも大根おろしも、すりおろして食べますよね。
すりおろすことで細胞を壊して初めて辛味がでる、というのは、そのまま大根を食べるとむしろ甘い、ということでなんとなくお分かりになるのではないでしょうか。
イソチシアネートの一種、スルフォルファンには抗がん作用が期待
「アリルイソチオシアネート」はその名のとおり、「イソチオシアネート」という物質の仲間ですが、ブロッコリーの芽のスプラウトに多く含まれる「スルフォラファン」も「イソチオシアネート」の仲間です。実はスルフォルファンには抗がん作用があるとして、一時期アメリカでブロッコリー・スプラウトが売り切れになったほど。ちなみにブロッコリーもアブラナ科です。スルフォラファンの特徴は、ビタミンCなどに比べて作用効果持続時間が長いこと。なんと3日以上も続くそうです。ただし、ブロッコリー研究者のアメリカの医学者がおっしゃるには、「ガンになる危険率を半分に減らすには、ブロッコリーの芽を1週間に合計で25グラム、2,3回にわけて食べればいい」とのことですから、もしこの量をブロッコリーでとるためには毎週500グラムのブロッコリーを食べないといけないことになります。これは食品売り場のブロッコリー3個分ぐらい!という量ですが……。
ちなみにこの成分は長時間水にさらすと水に溶けてしまうので水洗いはさっとしましょう。
アブラナ科の野菜
アブラナ科の植物は1990年アメリカの国立がん研究所が発表した、ガン予防に効果的な食品、というものの中に含まれています。
アブラナ科には前述の大根、わさび、からし、ブロッコリー以外でもカイワレ大根、芽キャベツ、カリフラワー、さらにはクレソン、カブ、チンゲンサイなどの野菜もありますので、ひとつのものだけではなく色々な野菜を食べるようにしましょう。
最初にお話したアリルイソチシアネートは食べ過ぎて中毒になった(牛ですが)という話もありますので、ほどほどにして下さいね。