ポイント1:吸収率の高い鉄分「肉や魚」の摂取がおすすめ!
鉄分は体内で作ることができないので、食べ物から補給しなければなりません。そしてもう一つ、意外に知られていないのですが、鉄分の種類により腸管吸収率に違いがあるのです。食物鉄には「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」の2種類があります。肉や魚に含まれるのはヘム鉄です。海草や野菜、大豆などの植物性食品に含まれるのが非ヘム鉄です。十二指腸での吸収率は、ヘム鉄の方が非ヘム鉄より数倍高いと言われています。
鉄分を多く含む食品
鉄分補給と言えば、だんとつレバー。含有量、吸収率ともに非常に優秀な食べ物です。肉類は、ロースや霜降りなどよりも、赤身の方が鉄分が多く含まれています。
魚類は、白身よりイワシやマグロなど青魚や赤身の魚の方が鉄分は豊富に含まれています。また貝類にも多く含まれているので、味噌汁やスープなどお汁ごといただける料理にするのがベターです。
食品名 | 100g中の鉄含量 | |
豚レバー | 13.0mg | |
鶏レバー | 9.0mg | |
牛肩肉(和牛・赤身) | 2.7mg | |
カツオ | 1.9mg | |
マイワシ(生) | 1.8mg | |
マイワシ(丸干し) | 4.4mg | |
アサリ | 3.8mg | |
シジミ | 5.3mg | |
パセリ(生) | 7.5mg | |
ブロッコリー(生) | 1.0mg | |
ほうれん草(生) | 2.0mg | |
ヒジキ(乾燥) | 55.0mg | |
切り干し大根(乾燥) | 9.7mg | |
大豆(国産) | 9.4mg |
*五訂日本食品成分表より
ポイント2:鉄分の吸収を助ける「レモンや梅干」をご一緒に
鉄分は食品から摂取しても、体内に吸収されるのはわずか8%と言われています。できるだけ吸収をよくするためのポイントをご紹介しましょう。■植物性食品に含まれている「非ヘム鉄」もしっかり摂る
野菜や穀類などの植物性食品に含まれている「非ヘム鉄」は、吸収率がよくないのが特徴です。でも動物性タンパク質といっしょにとると、吸収がよくなります。ただし、動物性タンパク質と言っても、肉、魚は促進(MFP効果)しますが、牛乳、チーズ、卵にはこの作用がありません。
■ビタミンCを一緒に摂取する
ビタミンCは、鉄を吸収しやすい形に変えてくれます。ヘム鉄も非ヘム鉄も、ビタミンCの豊富なレモンを添えたり、ビタミンCと鉄分がとれるブロッコリーなどをしっかり食べるなど工夫してみましょう。
■ゆっくりよくかんでに胃液を分泌させる
リラックスしよく噛んで食べると、胃液がよく分泌され、鉄分の吸収をよくします。また酢や梅干し、かんきつ類などの酸味のある食品、香辛料も胃粘膜を刺激して胃酸の分泌を高めてくれます。
■食べ合わせに注意する
紅茶やコーヒー、緑茶に多く含まれている渋み成分のタンニンは、鉄と結合すると、吸収を悪くすると言われていますが、最近の研究では、体内で消化された鉄とは結合しない、あるいは緑茶はビタミンCが多いので鉄分の吸収も助けるという説も出ています。
いったいどちらなのでしょうか? 私は、常識的に食事中は、あまりがふがふ渋い緑茶を飲む方は少ないと思うのです。昔から、食事中はタンニンの少ないほうじ茶や麦茶、またタンニンの多い煎 茶、玉露などの緑茶は食事と食事の間にだされていました。しかも煎茶・玉露は、タンニンが出にくい低温でお茶を抽出します。昔の人は、経験として緑茶を健 康的に飲む術をよく理解していたのかなと思います。
*現在の貧血改善のための鉄製剤などは、タンニンに影響されることはないそうです。
また非ヘム鉄は、リン酸カルシウム、フィチン酸、ポリフェノール、コーヒーなどによって吸収が阻害されると言われています。この中には抗酸化作用等で知られるものもありますので、とり過ぎに注意しましょう。
■バランスのよい食事を心がける
血液は、鉄分だけでなく、タンパク質やビタミンB群・ビタミンC・銅などからも作られます。ですから、いろいろなものをバランスよく食べることも大切なことです。
<参考>
思春期貧血・その実態と検査の重要性(東京都予防医学協会)