いっせいにおむつ交換をしたり、入浴させたりする方法をとっているので、職員はひたすら業務を遂行することに懸命にならざるを得ず、お年寄りの言うことに耳を傾けられない。 |
「どうせ聞いてもらえないから」とお年寄りが閉鎖的に。結果的に日常的な生活動作能力が低下していく。 |
そこで考え出されたのが「ユニットケア」です。具体的にどんな方法をとったのか、見てみることにしましょう!
●万葉苑のユニットケア1
入浴介助レベル別にユニットをつくろう職員がもっとお年寄りひとりひとりと向き合うためには、それぞれ少人数グループを担当できるよう、ユニットをつくるのが一番。そこで、もっとも労力のかかる「入浴介助」によってグループ分けをおこなうこととしました。それぞれの日常生活動作能力によって、入浴にかかる介助の労力は異なります。この労力のレベル別に分ければ、食事介助のときも排泄介助のときも、同じ程度の労力を想定できるので、人員配置がしやすくなるというわけです。
●万葉苑のユニットケア2
大食堂を区切ってアットホームなリビングに
大人数でいっせいに食べる食事では、団らんも生まれようがありません。そこで、ガーデニングで使うラティスで仕切りを作り、ユニットごとに食べられるよう工夫。さらに、食堂内に畳を置き、和ダンスなどで仕切ったリビングスペースを作りました。
●万葉苑のユニットケア3
食堂や居室以外にくつろげる居場所を作る
食堂とベッド以外に居場所がなければ、生活パターンも単調になってしまいます。これを改善するため、廊下やロビーの一角を使って、いろいろな居場所づくりをおこないました。ソファ、ついたて、間接照明などを置き、「なんとなく落ち着く」スペースをあちこちに用意したのです。粗大ゴミ捨て場から拾ってきた家具も積極的に利用したそう!
●万葉苑のユニットケア4
お年寄りは居室にいる間、「ほうっておかれている」「さびしい」と感じがち。「居室は自分のプライベート空間」と認識してもらうのと同時に、さびしいとき、手助けが必要なときにはすぐ誰かに声をかけられるようでなくては・・・。そんな思いから、ベッドまわりには家族の写真など私物をどんどん持ち込んでもらい、希望があればベッドの代わりに畳を置くことに。また、ユニットごとに、夜勤寮母さんなどを多数配置したほか、ユニットにかかわりなく全体を動き回るスタッフを確保。
さてさて、こんな工夫の結果、万葉苑にはある変化が・・・!