今、グループホームが熱い


在宅でも施設でも実現できなかった、もうひとつの居住空間――それがグループホームです。友人のように、あるいは家族のように、高齢者同士が一つ屋根の下で暮らします。老化による心身機能の低下を互いに補い合いながら生活ができるのがメリット。スタッフに助けられながら、衣食住のことを可能な限り自分でおこないます。

自分のペースでゆったり生活できるのが何より(本文とは関係ありません)                      ▼

特別養護老人ホームなどの施設ほどではありませんが、有料老人ホームと比べ費用が安いこともグループホームの特色。「身の回りのことは最低限自分でできる」などが入居条件です。ともすれば「管理」されがちな他の高齢者施設と違い、自分なりの生活ペースが守れる点も大きな特徴といえるでしょう。「いずれ障害が重くなれば出ざるを得ない」など問題を抱えてはいるものの、痴呆入所者の回復例も報告されています。


このグループホームの先駆け的存在として知られるのが、兵庫県尼崎市のグループハウス尼崎です。阪神・淡路大震災後に生まれた24時間ケア付き仮設住宅が前身。ぜひお手本にと、全国からグループホーム関係者が見学に訪れるというほど、理想的なモデルとして注目を浴びています。コンセプトは「呆けても普通の暮らしを」。
お年寄りたちのゆったりとした時間が息づく同グループハウスの魅力を取材しました。


マイペース第一主義が生きる
あてがわれない生活

午後の陽光がさんさんと降り注ぐガラス張りのリビングキッチン。「とん、とん、とんからりと隣組」よく響く声を上げ、両腕をくねらせるのは歌の好きなTさん(84歳)です。東京からやって来た見学者たちに、ちょっとした余興を披露中。最高齢というOさん(92歳)は窓際に座って日向ぼっこ。ほかのお年よりはそれぞれ自室でテレビを見たり、お昼寝したり。「ここでは誰もがマイペース。居室はすべて個室なので独りでいることもできるし、誰かとお喋りしたくなったらリビングに来ればいい。自由で気楽な空間づくりをめざした」と中村大蔵苑長は説明します。


「普通の暮らし」に限りなく近く――その意図は、食事スタイルにも表れています。みんなが一同に集まり、トレイの上のものを食べる一般的な施設の食事風景とは違い、ここでは思い思いの時間に好きなものを食べます。自分なりの食生活を送れるようにとの配慮なのだそう。


個人用の洗濯機置き場があるのも特徴。他人と同じ洗濯機を使うことに抵抗感のあるお年よりもいるからです。入居者全員が個人用ポストも持っています。
さらに各居室に設けられた濡れ縁は、自由に出入りできるようにするための、ちょっとした心遣い。自分だけのプライベート玄関の役割を果たしています。このほか小さめの玄関がスタッフルームから離れた場所に2つほどあり、スタッフの目を気にせず外出できるようになっています。


プライバシーを尊重する一方、地域との交流も忘れていません。リビングから続く大きなウッドデッキは道路に開放されていて、週に2度開かれる野菜市の広場に。買出しに集まる町の人とお年寄りの会話も弾みます。