本当にこれでいいのか?! 療養型病床削減で医療難民続出
病床数削減のため、ベッドそのものは目の前にあるのに入院できません……という事態が予測されます |
ところが、膨らみ続ける医療費を抑えることを大きな理由として、2011年度までに介護型療養病床13万床を全廃、医療型療養病床25万床を15万床に削減されるという方針を厚労省は打ち出しています。どんなに丁寧な言葉を使ったとしても、結局は「あなたぐらいなら自宅で介護できるでしょ! そのほうが安くすむんだから」と言っているわけです。確かに国が負担する医療費そのものは抑えることができるでしょう。しかし、もし自分で介護ができないとしたら、あなたは誰に介護を頼みますか?
ある程度の収入がある方なら施設に入ることもできるかもしれませんが、ただでさえ、保険料負担は上がり年金は下がると目される昨今、その負担は家計を崩壊させるには十分過ぎるほどです。
「入所時支度金100万円、月々30万円です。もし入所されて1ヶ月で亡くなったとしても支度金は返還しませんから。他の施設よりずいぶん安いでしょ?」
……あなたは払えますか?
すでに「ありえない」話が現実となっています。自宅であっても、自分のことは自分ででき、健やかに暮らすことができればそれが良いのですが、現実には高齢者の方がその配偶者、あるいは親の介護している家庭もあるのです。他人事ではなく、これは誰にでも起こりうる問題なのです。
日本の医療は本当に世界一なのか?
これも良い言葉ではありませんが、救急患者さんのたらい回し・医療過誤などが社会問題となる中にあって、いまだに日本の医療は世界最高水準であると言われています(世界保健機関による総合評価では第一位)。このように書くと、本当に充実しているのか、という疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。世界的にはこの医療制度が評価されているのは、国民の誰もが自由に受診したいと思う医療機関を選ぶことができる権利(フリーアクセス)、また、国民皆保険制度によって医療費の負担額が共通、あらゆる人に平等かつ良質な治療を受けることができる、ということにあるそうです(厚労省主催のある講演会ではこのことをやたらと強調されていました)。世界に冠たる長寿国日本ですが、5年10年前と比べたとき、あなたはどちらの時代の医療制度を評価しますか?
すべての人間は年をとります。もしあなたや家族にも介護が必要となったとき、誰の助けも得られなかったとしたら、どのように暮らしていけばよいでしょう。高齢者同士がお互いの介護を苦にして心中を図るといった報道もなされる現代、個人である私達にできる最小限のことは、自分自身の健康を少しでも維持することだけなのでしょうか。
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