とはいえ、自治体によって介護タクシーの事情はさまざまです。
たとえば東京都。ある大手タクシー会社では現在、運賃としてハイヤー料金7520円を請求したうえで、諸介助の料金を30分につき213円上乗せする料金体系をとっています。都の方針で運賃無料のサービスは行えないのだそう。
これに対し、宮城県の仙台中央タクシーは5キロ未満の運賃は無料とし、30分以内の自宅・院内介助料金214円を請求。「昨年10月からスタートしたサービスですが、利用件数は上向き。2002年7月は1210件の需要がありました」と打ち明けます。
介護タクシー発祥の地、福岡県でも利用は盛ん。西日本自動車では買い物、通院、散髪などの付き添い・介助に介護保険を適用、運賃は一定メータ以内は無料。ドライバー指定制なども設けています。「行政の方針如何でこの先どうなるか不安な部分も。あまり台数を増やさず、量より質重視で始めました。それでも利用者増加には歯止めがかからない状態。毎月3割ベースで伸びています」。
同県、最大手のひとつ、日新交通も同様の料金システムを採用。スロープ付きのファンカーゴで送迎し、着替えなどのほか、家事介助までおこないます。毎月の需要は6000件超。
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「介護保険の鬼子」と呼ばれ、厚生労働省、各サービス事業者たちの間でその是非が取り沙汰された「介護タクシー」。それでもなお、こうして数多くの需要があることは紛れもない事実でしょう。
やせ細った自治体の懐具合はもちろん頭の痛い問題ですが、つらい外出が気軽にできるようになる移送サービス、ぜひとも広がってほしいものです。
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