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構造改革を斬る~医薬品販売編3 コンビニで薬~推進派の意見(2ページ目)

小泉内閣が掲げる構造改革第3弾、骨太の構造改革のひとつ、コンビニで医薬品販売の主張が国会で話し合われています。具体的にはどうなの?そして隠されたキーワードは・・・。

執筆者:赤堀 一仁

・・・で、コンビニで薬、ホントに必要なの?
用意のよい皆さんは、救急箱などを持ちのはずです。その中にいつもお使いの風邪薬など入っていませんか?調剤された医療用医薬品とは違い、一般用医薬品は用法用量と注意事項を守れば、基本的にはいつ、だれが使ってもいいものです。日頃から準備しておく事で、なにも夜中に薬屋さんに走らなくても、やってないからといってコンビニで薬があったらいいのに!なんて発想しなくてもいいはずです。めんどうなら配置薬の契約をしておけばいいと思います。
 
でも逆に考えるとこうした使い方が想定される一般用医薬品については「総合規制改革会議」の主張もあながち全く間違っているとは言い切れません。自宅にあった薬を使うのと、同じものをコンビニで買ってきて使うのは、大きな違いはない様に思われます。こう考えると常備しなくてもよい方が便利といえるでしょう。でもこれだけではなく、会議の意図する所は他の所にもあるようです。なにがポイントなのでしょう。

裏キーワード
それは、改革案の最後の項目「医療を利用者の選択に基づいたサービス産業のひとつと考え、民間活力の拡充や新たな雇用の創出など経済活性化の原動力とする」に表されているようにマーケット拡大による経済効果の期待です。

1999年に行われたドリンク剤の医薬部外品化の規制緩和によってドリンク・ミニドリンクの全ルートでの総売上は、20.6億円で前年同月と比較して9.5%の伸びを示しましたが、薬局・薬店での販売額は昨年とほぼ同額でした。この経済効果が得られたのに味を占めた販売店側の2匹目のドジョウ作戦が手にとるように見えてきます。

更に販売店側は、この数字の伸びを消費者が一般小売業での販売を望んでいる、と解釈していますが、そうではないような気がします。薬局・薬店にはめったにいかないけれど、よく行くコンビニなどにドリンク剤があったら「ちょっと買ってみようかな」という気になるのが皆さんの本音ではないですか?そこを消費者の希望と解釈するのはちょっと行き過ぎのような感じがしないでもありません。

一般消費者の利便性だけが注目をあびている感じがしますが、主張している人たちは経済界の人たちばかりです。事実、薬害オンブズパースンなどの市民団体は反対していたり、2003年5月6日に「コンビニ・FC加盟店全国協議会」が発表した声明からもこうした事がわかります。

【次回予告】
内閣府をボスにひかえた「総合規制改革会議」をはじめとする推進派陣営の主張はわかった!今度はその提案を迎え撃つ厚生労働省、日本薬剤師会、日本薬学会などで結成された関連団体の反対派連合軍による主張はどうなのでしょう。

【注意事項】
ここに示した表現は、総合規制改革会議が発表した資料などに基づき、ガイド個人の解釈と表現により表したものです。総合規制改革会議の見解と完全に一致するものではありません。文章の表現にあたっては誤りのないように心がけていますが、その解釈・利用にあたっては、発表資料そのものもご覧いただき、皆さま独自に行ってください。

【関連リンク】
構造改革を斬る~医薬品販売編シリーズ記事
・第1話「なぜコンビニで薬が買えないの?」
・第2話「薬局とドラッグストアって同じ?」
総合規制改革会議
コンビニ・FC加盟店全国協議会

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