医療情報・ニュース/健康保険・医療費・医療制度

医療費高騰の本当の原因は高齢化ではない!?(3ページ目)

最近、医療に関する簡単な疑問を解決するシリーズ。「医療費高騰の原因は高齢化ではない!?」についてお送りします。

山田 恵子

山田 恵子

女性の健康 ガイド

医師

東京大学医学部卒業。整形外科専門医、認定産業医。東京大学医学部医療情報経済学、ハーバード大学研究所客員研究員等を経て、東京大学医学部附属病院整形外科。ロコモチャレンジ!推進協議会委員。研修医や救急医療でのハードワークで体を壊してしまった経験を含め、現代社会で頑張る女性に役立つ健康情報をお届けします。

...続きを読む

医療費高騰の真犯人とは

どうしたら、健康に生活できる?
どうしたら、健康に生活できる?
実は、アメリカで行われた医療費高騰の原因は何か、という有名な研究があります。

そして最初のページで、高齢化を含めて、それまで医療費が高騰する原因と考えられていた原因を5つ挙げましたが、その5つをすべてあわせても1940年から1990年まで、米国の総医療費が上昇した率の25~50%にしか寄与(関連)していないという結果がでています。*1

では、医療費が高騰する最も大きな原因とは何なのでしょうか?

実は、これは『医療技術の進歩』だといわれているのです。

例えば、日本でも、病院で死亡する直前一ヶ月前の人にかかった医療費は1兆円弱という試算がでています*2。全体の医療費の約3%ですよね。3%が多いか少ないかは感覚によると思いますが、そんなに小さくはないのはないでしょうか。そしてもちろん、誰を助けることができて、誰を助けることができないかは治療を始める時点では分からないわけです。

良い意味でも悪い意味でもなく、ただ客観的な事実として、『医療技術の進歩』つまり『今までだったら死んでしまうひとも助けられる技術』にお金が一番かかるという事実、つまり『医療技術が進歩し続ける限り、必ず医療費は増大する』という意外と知られていない事実があるということ(考えてみれば当然ですが)は知っておいて損はないと思います。


*1(Newhouse JP.Medical care costs:how much wealfare loss? J Econ Perspects.6,1992,3-21.)
*2 医療経済研究機構:「終末期におけるケアに係わる制度及び政策に関する研究」(平成12年3月)等を基に、厚生労働省保険局調査課において推計
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2005/07/s0729-9c.html



  • 前のページへ
  • 1
  • 2
  • 3
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※当サイトにおける医師・医療従事者等による情報の提供は、診断・治療行為ではありません。診断・治療を必要とする方は、適切な医療機関での受診をおすすめいたします。記事内容は執筆者個人の見解によるものであり、全ての方への有効性を保証するものではありません。当サイトで提供する情報に基づいて被ったいかなる損害についても、当社、各ガイド、その他当社と契約した情報提供者は一切の責任を負いかねます。
免責事項

あわせて読みたい

カテゴリー一覧

All Aboutサービス・メディア

All About公式SNS
日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
公式SNS一覧
© All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます