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室内でも危険! 梅雨時の熱中症予防法(2ページ目)

熱中症というと炎天下の夏の出来事と考えがちですね。夏の運動時に起き易い事は確かです。湿度の高い梅雨時の室内も熱中症の危険があります。空調に加えて扇風機を利用して梅雨時の熱中症を予防しましょう。

西園寺 克

執筆者:西園寺 克

医師 / 感染症・健康情報ガイド

発汗しただけでは体温は下がらない!

汗をかくと体温が下がると考えますね。通常は、発汗すれば体温が下がります。しかし熱中症が起きるときは、発汗しても体温が下がらない環境です。汗は水蒸気になって気化する時に、気化熱を体表面から奪ってくれるので、体温が下がるのです。つまり発汗しても汗が蒸発せず、滴り落ちるような状況では、発汗しても体温は下がらないのです。

梅雨時のエアコン……結露すると熱中症の危険!

密閉度が高い現在の建物内では、エアコン(空調設備)を使えば室温は下がります。一方、少しややこしいのですが、密閉度が高い状態で室温が下がると元々の空気中の水分量を意味する絶対湿度はすぐには変化せず、温度によって変わる相対湿度が上昇します。つまり除湿機能が弱い、または除湿機能のないエアコンを使うと、温度低下とともに相対湿度は上昇してしまうのです。相対湿度が上昇すると汗の蒸発が低下します。

梅雨の時期は絶対湿度が高いので、エアコンを使って相対湿度があがると、鏡やガラスがすぐに結露します。体全体も濡れたような状態となります。この時に発汗しても、汗は蒸発しません。結果的に気化熱が体温を奪わないので、室内でも熱中症の危険が生じてしまうのです。

湿度計の湿球温度が重要!

黒球温度計
Wet Bulb Globe Temperature測定には黒球温度計が必要です。
熱中症が起きる場所は、屋外と屋内に分けることができます。熱中症の起こりやすさの指標としてWBGT(Wet Bulb Globe Temperature)があります。

屋内及び日照していない場合のWBGTの式=0.7×湿球温度+0.3×黒球温度

この式では特殊な黒球温度計が必要なので、一般家庭の中ではWBGTを求めるのは困難です。屋内では乾式温度計(通常の温度計)の温度が入っていません。という事は空調で室温を下げてもWBGTは直ぐに下がる訳ではありません。

扇風機を使って熱中症を予防!

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先人の知恵を大切に!
室内では起きている時はエアコンを調整して、体温調整することが可能です。問題は就寝時です。エアコンが就寝時の体に悪いという根拠が薄弱な説を信じてエアコンを切ってしまうと、熱中症の危険性が生じます。

また、エアコンを使用しても相対湿度が上昇してしまうと、かえって熱中症の危険性が増してしまいます。

車の話を思い出して下さいね。車のラジエーターは昔はエンジン直結のファンで冷やしていたので、夏の海沿いの渋滞で、しばしばオーバーヒートを起こしたものです。最近は電動式ファンの導入により、渋滞に巻き込まれても直ぐにはオーバーヒートとはなりません。

現代人も昔ながらの扇風機を活用しましょう。首振り型の扇風機で屋内の空気を撹拌(かくはん)しましょう。文字で納得できない方は、高温多湿で体全体が濡れている状態に近いシャワー後、またはお風呂上がりに、手だけは拭いて感電を防止した上で、ドライヤーをcoldにして毛髪ではなくて体に風を当ててみて下さい。風の当たった部分が急速に冷えるのを体感できると思います。この原理をうまく利用して、正しく体温を調節していきましょう。


関連リンク

  • WBGT[WIKIPEDIA(日本語)]
  • WBGT[WIKIPEDIA(English)]
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