インフルエンザウイルス抗原検査
何かと副作用が懸念されるタミフル®ですが、予防的に処方されることもあります |
この検査法の場合、ウイルスが存在することを正しく存在すると判断できる確率を「感度」、ウイルスが存在しないことを正しく存在しないと判断できる確率を「特異度」と表現することを覚えておいてください。感度が高いほど敏感にウイルスを発見でき、特異度が高いほど陽性反応であった場合の原因がインフルエンザウイルスである(他のウイルスではない)と正しく判断できるということです。
例えば「感度が低い」と、本当はインフルエンザにかかっているのに検査では陰性となってしまい、「特異度が低い」とインフルエンザ以外のウイルスでも検査が陽性となることがある、という現象が生じます。この検査がどのぐらい有効であるのか、次の項目でご説明します。
抗原検査の精度はどのぐらい?
従来の抗原検査法は、鼻もしくは咽喉(のど)の奥を綿棒でぬぐって検査を行うというものでした。検査試薬はメーカーによってもその結果・精度に若干のバラつきがありますが、一般的には鼻腔ぬぐい液を用いるほうが咽頭ぬぐい液に比べてもウイルスの存在が明確になりやすいとされています。具体的には次のようになっています。あるメーカーの検査試薬では、A型インフルエンザと確定診断された患者さんから分離されたA型インフルエンザウイルスを用いて検査した場合、鼻腔ぬぐい液を用いた場合の感度は約90%であったのに対し、咽頭ぬぐい液を用いた場合の感度は約65%ということでした(特異度は両者とも90%程度でした)。これに対して同じようにB型インフルエンザと確定診断された患者さんから分離されたB型インフルエンザウイルスを用いた場合、鼻腔ぬぐい液の感度は約85%であったのに対して、咽頭ぬぐい液の感度は約70%となっています。
こうした結果が示すように、一般的にはA型インフルエンザのほうが診断しやすく、B型インフルエンザウイルスについてはやや精度が劣るため検査だけでは確定できないこともあります。また、症状が出現してから約24時間経過した時間帯が最もウイルス量が排出されますので、インフルエンザであった場合に検査で陽性となる確率が高くなり、それより早い時間だとインフルエンザにかかってもウイルス排出量が少なく確定診断できない可能性ということにつながるのです。このように、抗原検査による診断法には限界のあることをご理解していただいた上で、抗インフルエンザウイルス剤の予防投与・かかる費用について確認してみましょう。
次のページではインフルエンザ治療薬の予防投与にかかる費用をご紹介します。