花粉症の症状は十人百色
花粉症の症状は人によってさまざまです
■花粉症による発熱
日本の教科書的な記載では、発熱は花粉症の症状とはされていません。しかし春一番が吹いて花粉の大量飛散が始まると、毎年微熱が出てしまうという話も聞きます(私自身もよい例です)。アメリカの花粉症に近いとされる「Hay Fever」は、名前の通り「干草熱」と呼ばれてるものですが、発熱を伴います。
■花粉症による顔のむくみ・浮腫
花粉症で炎症がおきる場合もあります。炎症が起こると、血管外に白血球が出やすくなり、血しょう水も細胞間質に出やすくなります。つまりむくみやすい状況になるということです。この浮腫状態が顔に出ると、むくんだ顔になります。
■花粉症による化粧品アレルギー・金属アレルギー
花粉症の時期は空気が乾燥しています。乾燥肌、敏感肌の人は乾燥だけでも皮膚に症状がでがちですね。花粉に暴露される顔は化粧品、眼鏡枠の金属もある場所です。花粉症の時期に急に化粧品や金属アレルギーになる事があります。
■花粉症による吐き気
目、鼻、喉の症状だけが花粉症ではありません。発生学的なお話になりますが、人間の肺は、魚の浮き袋と起原が同じものです。浮き袋は消化器が括れてできた器官ですので、口を含む呼吸器系に症状を起こす花粉が、消化器系に症状を起こしても不思議はありません。砂埃を吸い込んだ時のように、口の中がざらざらした感じがする人も多いのではないでしょうか?
これによって胃酸分泌が増えてしまうと、逆流性食道炎を引き起こします。胃の炎症が強く胃粘膜が抵抗しきれないと、胃潰瘍やビランになります。逆に胃粘膜ががんばって抵抗すると内視鏡検査では異常がみつかりにくくなり、機能性胃腸症の診断になります。
腸全体で炎症が起きるとおなかに風船が入ったような感じがします。この場合は過敏性大腸症と診断される可能性があります。口が痒い時期は出口(肛門)も痒くなります。
私自身が花粉症かなと感じたのは、ある4月でした。急に吐き気が始まり、その状態が数週間続きました。次の年も同じ時期に吐き気が始まりました。内視鏡検査をすると胃の粘膜から小さい出血がありました。時期的にはヒノキ花粉が飛散する時期に一致しています。
秋にブタ草花粉が飛散する時期に同じような症状がありました。胃粘膜保護薬と胃酸抑制剤を暫く服用してから内視鏡検査をするときれいな胃の粘膜でした。花粉と消化器官の症状は、関連があるのかもしれません。
上記のように、花粉との関連が考えられる症状は様々ですが、個人でも1日、1週間の中で、症状には大きな変化や変動があります。花粉症日記をつけて、まずは一番緩和したい症状を見つけてみましょう。
花粉症症状を把握するために「花粉症日記」をつけよう
視床は痒みを伝えてしまいます。 |
以下で、花粉症日記の例をご紹介しましょう。簡単に書くだけでも、症状が把握できますよ。
- 「顔がむくんで、目も真っ赤!」
- 「飲み過ぎ?食べ過ぎ?朝からムカムカ」
- 「鼻づまりがひどくて、一日ブルー」
- 「とにかく目が痒くて痒くて辛い…」
などなど。大事な事は、どんな場所で、どんな時に、どの症状が強く出て辛かったか、どれを一番減らしたいかを把握することです。それによって受診する診療科、診療科に行く時期(花粉が飛ぶ前、花粉が飛んでから)が変わってきます。
花粉症の対策や治療に関わる診療科は、出ている症状によって、耳鼻咽喉科、眼科、皮膚科、消化器科などさまざま。シーズンが来てから一度にこれらの科を全部受診するのは時間的にも困難でしょうから、まずは花粉症日記を付けて、自分にとって一番負担になっている症状が何かを見極めましょう。