アレルギー/アナフィラキシー

スズメバチに注意! アナフィラキシー対策(2ページ目)

夏になるとハチが活動性になります。全身のアレルギー反応であるアナフィラキシー・ショックを起こすことのあるスズメバチには特に注意してください。アナフィラキシーの予防と対策をご紹介します。

執筆者:吉國 友和

スズメバチだけではありません 虫刺されによるアナフィラキシー

山登り
山登りでハチに遭遇することもありますので、服装にも注意してください
夏にはハチが活動的になるため、ハチ刺されが原因となることもあります。ハチには様々な種類がありますが、夏に活動するハチの中で攻撃性の高いものから比べると、次のようになります。
  1. スズメバチ
  2. アシナガバチ
  3. ミツバチ
蜂毒によるアナフィラキシーのうち、最も多いのはスズメバチに刺されることですが、スズメバチ以外のハチに刺されたときにもアレルギー反応が出現する可能性はあります(蜂毒は単一成分ではなく、何種類もの要素から構成されています)。

この3種類のハチの持つ蜂毒に対してアレルギーを持っているのかを調べる血液検査があります。麻疹(はしか)の検査でもお馴染みの「抗体検査」の一種で、即時型アレルギー反応を反映するIgEという物質です。対象となる血液と蜂毒を実験的に反応させることで、アレルギーの有無を調べます。もし反応が強く見られたら、ハチに刺されたとき、つまりハチ毒が毛細血管から血液内に入ったとき、血液中の免疫細胞が過剰反応を起こした結果、様々なアレルギー物質が全身の血管内を駆けめぐり、全身のアレルギー症状が出現するということになります。ハチ毒にアレルギーのある人が、ムカデに刺されてアナフィラキシー症状が出現したというケースもあり、ムカデの毒素がハチの毒素に類似している可能性も指摘されています。この他、抗菌薬(抗生物質)や食物アレルギーでもアナフィラキシー・ショックを起こすことがあります。

ただし、この抗体検査が陰性であったとしても、一度に大量のハチに刺されてしまうと、同じようにショック状態に陥ってしまう危険性がありますから、この検査を行うことで必ずしもアナフィラキシー・ショックを起こしやすい体質かどうかを判断する理由とはなりません。


万が一に備えた対処法

万が一、ハチに刺されてアナフィラキシーが出現した場合には、一刻も早く救命処置を行う必要があります。ところが、救急車の到着までに時間を要することも稀ではありません。こうした場合の対処法として、一般の方でも扱うことのできる緊急用のアドレナリン注射(商品名:エピペン)が販売されています。アドレナリンは気管支拡張作用や血圧上昇作用を有しますので、緊急時に自分で注射をすることで、医療機関での正式な治療開始までに重篤な症状を緩和できる可能性があります。山登りが趣味の方などハチに遭遇する機会の多い場合には、お守りとして持っておくといざというとき役に立つかもしれませんね。ちなみに、国有林で作業する方は必ず1本身に着けているそうです。

注意:エピペン®は、講習を受けた医師による処方が必要です。また、保険適応とはなっていないため、費用が高いのがネックです。医療機関によって若干差がありますが、概ね1万5千円ぐらいのようです。


次のページではハチを捕獲する罠(わな)をご紹介します。
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