1個75kcal、炭水化物8.5g、大豆タンパク3.7gと表示があります。 |
この粋(いき)な研究をしてくれたのは、マサチューセッツ・アマースト大学(アメリカ)の研究者たち、Kalidas Shettyと2人の博士課程の院生です。研究チームは食べ物に含まれている、"消化酵素を抑制する物質"をスクリーニングしていました。そこで見つけたのが豆乳ヨーグルトです。[Journal of Food Biochemistry]
アルファ(α)-グルコシダーゼ阻害薬をご存知ですか?
2型糖尿病の経口剤にアルファ-グルコシダーゼ阻害薬というグループがあります。商品名ではベイスン、グルコバイ、セイブルといったものですが、服用中の方も多いことでしょう。ご飯やパンに含まれているデンプンは、ブドウ糖が長い鎖のように結びついたものです。
この結びつき方をアルファ-グルコシド結合と言うのですが、体は小腸でアルファ-グルコシダーゼという酵素がデンプンを切り離してブドウ糖にしてから吸収します。この酵素の作用を妨害すれば食後の血糖上昇がゆっくりになりますね。この薬はその作用をするのです。食事の直前に服用するとその効果がありますが、食後では効果がないという面白い薬です。
研究チームは食品スーパーへ行っていろいろな物を買ってきて調べたのです。すると、ブルーベリー入りの豆乳ヨーグルトが一番強い作用を持っていたのです。消化酵素のアルファ-グルコシダーゼやアルファ-アミラーゼを阻害するだけでなく、高血圧の薬「ACE阻害薬」と同じ作用もあることが分かりました。なんと糖尿病と高血圧症によさそうなんです。
ピーチやストロベリーの入ったヨーグルト(牛乳)もアルファ-グルコシダーゼとアルファ-アミラーゼの作用を阻害する力がありました。
抗酸化物質もたっぷりです
いろいろなヨーグルトを調べた結果、フェノールやポリフェノールが多いフルーツ入りのものが高得点でしたが、やはりトップは豆乳ヨーグルトで、フェノール類はプレーン豆乳ヨーグルトでもどんなフルーツ入りヨーグルト(牛乳)よりも多く含まれていたようです。ブルーベリー入りのヨーグルト(牛乳)もナンバー2だったのですが、なんと言ってもブルーベリー入りの豆乳ヨーグルトがお薦めなんだそうです。
ところでポリフェノールのような抗酸化物質が、体の中でどのように病気予防になるのかはまだ完全に分かったわけではありません。この研究を指導したShetty先生によると、「抗酸化作用のある植物性化学物質が、体がもともと備えているグルタチオンのような抗酸化酵素の分泌を刺激して、体を対フリーラジカルの防衛モードにするのではないか」とのことです。これも一つの考え方ですね。
また、アルファ-グルコシダーゼ阻害薬というのは、空腹時血糖がさほど高くなく、食後に高血糖になるような2型糖尿病の人が適応とされています。もっと進行した病態では、ブルーベリー入り豆乳ヨーグルトだって、間違いなく血糖値を上げるからご注意を。
でも、ちょっとした食後のデザートが楽しめそうな話題ですね。ボクははやばやと試食済みですが、少し甘味も香りも強すぎると思いました。皆さまのご感想はいかがでしょうか?
関連リンク
- ソレイ社 ニュースリリース
from ソレイ - アルファ=グルコシダーゼ阻害剤と『低血糖』と果糖
from On-line糖尿病ウォッチャー