インスリンはエネルギー源のブドウ糖を細胞の中に取り入れたり、脂質、タンパク質の代謝に関わる大切なホルモンです。
糖尿病のある人には聞き捨てならない名前のダイエットです。最近は雑誌の特集にも採り上げられるようになりました。
一体、どんなダイエットなのでしょう。
その原理は意外と科学的で簡単なものです。まず、炭水化物の摂取を極端に減らします。一日50g以下にするとインスリンの分泌が抑えられて、体は脂肪をどんどん分解するようになります。
脂肪細胞は血液中のインスリンをモニターする酵素を持っています。すなわち、血液中にインスリンがたくさんあれば『ご飯』を食べたばかりだと判断して、せっせと中性脂肪を合成して貯えます。そして、インスリンが少なくなると『食事をしていない』と判断して、エネルギー源として脂肪を分解し始めます。
インスリンそのものは血液中のブドウ糖(炭水化物)に応じて分泌されるものです。
健康な人のエネルギー代謝は、このようにブドウ糖か脂肪かを、随時、自由自在に組み合わせて行われています。ところが糖尿病を発症してインスリンが十分に分泌できなくなると、ブドウ糖が筋肉や脂肪細胞に入れなくなります。
そうするとブドウ糖の血中濃度が異常に高まってしまいます。一方でインスリンがないので脂肪がどんどん分解され、それが肝臓で『ケトン体』というエネルギー物質に作り換えられます。
この状態が糖尿病の高血糖です。
『ケトン体』は脳でも心臓でも利用できる大切なエネルギー源ですが、多過ぎると血液を酸性に傾けてしまいます。そのため、呼気として息の中に気化して体外に出したり、あるいは腎臓で尿として排泄する仕組みになっています。私達が意図せずに急に痩せ始めて『糖尿病』に気付くのは、このように脂肪が分解してケトン尿になって排泄されるからです。食物が十分に無い飢餓(絶食)状態の時も、体はこのケトン体のエネルギー代謝になります。