肩こり/肩こりの原因・しくみ・肩こりに潜む病気

その方法で大丈夫? 肩こり解消のための運動のコツ

肩こりを改善したいと肩こり解消に効果がありそうな運動に励んでいるのに、なかなか効果が感じられない……。そんな人は少なくないようです。肩こり解消の運動に効果が出にくい原因と、しっかりと効果を得る方法についてお話ししましょう。

檜垣 暁子

執筆者:檜垣 暁子

カイロプラクティック理学士 / 肩こり・腰痛ガイド

肩こり解消に運動! でも効果が見られないのはなぜ?

ストレッチ

肩こり解消のために有効とされるさまざまな運動。でも、あまり効果が感じられない人もいるのは、なぜでしょうか?


「肩こりの予防、緩和のために運動をしましょう!」ということは、よく言われていますね。ところが、肩こりが楽になるようにと運動に励んでいるのに、なかなか効果が感じられない…ひどい時は、かえってコリが強くなった気がする、なんていうこともあります。

今回は、予防のはずの運動に効果が出ない理由と効果を出す方法についてお話ししましょう。

運動しても肩こりが緩和されない人の特徴

肩こりに効果的な運動は、首の筋肉を伸ばしたり、肩を回して肩甲骨を動かしてみたりと、肩こりの原因となる筋肉の血流をを回復させるものが多いです。

しかし、このように部分的に筋肉を動かしても肩こりが緩和しない場合は、全身を動かすような運動をすると症状が和らぐことがあります。全身の運動で肩こりが楽になる場合は、肩こりの原因が、首や肩周りの筋肉の硬さだけが原因では無い可能性があります。腰や背中の筋肉がほぐれたり、全身運動によって気分転換ができるなど、心理面からも影響があります。

ところが、全身を動かすような運動をしても、肩こりが緩和されなかったり、逆に筋肉が硬くなってしまうように感じる場合があります。今までは、肩こりが緩和されていた人も、ちょっとしたことで再び調子が悪くなるかもしれません。運動の後に肩こりが緩和しない要素があるかどうか、下記の項目であてはまるものをチェックしてみましょう。

■運動効果のチェックリスト
  • 肩こりを感じる以前から、定期的に運動をしていた
  • 最近、運動を始めたばかり
  • 原因不明の動悸やめまいがある
  • なかなか眠れないことがある
  • かなりハードな運動をしている
  • 精神的なストレスが大きいと感じる
  • 上半身のウエイトトレーニングを始めて間もない
  • 運動後は、すぐにお風呂で温まるようにしている
  • 運動後は、時間が無いので整理体操などはしない
  • 夜遅めの時間に運動している
あてはまる項目はありましたか?あてはまる項目が少ないほど、運動後の肩こりは改善されやすい傾向にあります。あてはまる項目が多い人は、次の項目から今の方法を見直してみましょう。

せっかくの運動で効果が出にくい原因は?

首・肩周りの筋肉がこり固まってしまうと、筋肉が収縮・弛緩をスムーズに行うことが難しくなってしまいます。その状態が続くことで、酸素や栄養も行きわたらなくなり、肩こりが慢性化してしまいます。

体を動かすと、筋肉の伸び縮みを促すことが出来るため、血行が良くなりその結果、筋肉が柔らかくなるためコリもほぐれていくはずなのですが……。コリがほぐれない場合、運動の効果を妨げる要因が、何かあるのかもしれません。

クールダウンはしっかりやろう!

軽く息が上がるような全身運動では、筋肉を緊張させる働きのある「交感神経」が優位になり、心拍数もあがります。「交感神経」が優位な間は、気持ちも高ぶっているため体はリラックス状態ではありません。また、筋力トレーニングで負荷をかけた場合も、筋肉への血流が一時的に減少する場合があるため、クールダウンの時間を設けて体をリラックスさせように促す必要があります。それが出来ない場合は、筋肉が硬く緊張してしまうケースもあります。

これらを解決するには、全身運動や筋力トレーニングの後に15分ほど、軽めに有酸素運動をすることです。ウォーキング程度のものがちょうど良いと言われています。できれば、その後に筋肉のストレッチを行うと、なお良いです。運動後は筋肉の温度が高いため、ストレッチは効果的に行うことが出来ます。こうすることで、「交感神経」の優位な状態から「副交感神経」の働きを強め、体の力がぬけるようなリラックス状態へもっていきます。また、酷使された筋肉の細胞が修復されやすいのも、この「副交感神経」が優位な時です。

すぐにお風呂へ入らない!

肩こりはお風呂でゆっくり温まると効果的!という話があります。確かにその通りなのですが、運動直後の場合は、すぐにお風呂で温まらない方が良いでしょう。運動直後は、前述の「交感神経」の働きで、心拍数も多く体は興奮状態に近いです。そこへ、お風呂でさらに温めてしまうと、交感神経が活発になってしまうことがあります。この場合もやはり、クールダウンは欠かせないでしょう。

運動は遅い時間にはしないように!

運動をする時間は決まっていますか? 眠る時間の少し前には「副交感神経」の優位な状態にしておきたいものです。就寝時間に近い時間帯で運動をしてしまうと、筋肉を硬くさせる「交感神経」が働いている状態となり、筋肉は硬くなったまま、就寝時間になってしまう恐れがありあます。

また、筋肉細胞の修復や疲労回復は、睡眠中の成長ホルモンの分泌が関わっています。しかし、22時から深夜2時の間にホルモンの分泌が盛んになるため、それよりも遅い時間に寝るというのは、大変もったいないことです。規則的な生活にして、この成長ホルモンの働きも、ぜひ利用したいものです。


まとめると、運動後、いかに筋肉をリラックス状態へもっていくことができるか、ということになりますね。ですから、自律神経失調傾向の人は、最初は効果が出にくいかもしれません。上半身の筋力トレーニングは、肩こりで首・肩周り・背中の筋肉の働きが低下している人は、負担が大きくなり痛めたり、筋肉の緊張が強くなる場合がありますので、注意しながら行ってくださいね。

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