日本とアメリカの不妊治療の違い
加藤院長の講演を聞いて、質問がありました。■Mr.Hans Hoogervorst氏の質問
アメリカの治療との違いを明確に説明して頂けますか?
■加藤院長の回答
アメリカも日本も現在の治療は30年前の不妊治療を踏襲したものとなっています。その目的は多くの卵子を採集してそして体外受精をしていこうということです。日本・アメリカ・イギリスは2~3個戻しがスタンダード。スウェーデン・ノルウェイは1個戻しが法律で決められているようです。
我々の理想は「出来るだけ薬を使わずに卵子を1個採取する」ことです。それは今の技術では子供になる最適な卵子を見抜く判定法がないということです。よって、卵巣がセレクトして出来た1個の卵子がベストと考えるからです。そしてすべての母は1人の子供がほしいので良い卵子が1個あればいいという考えです。
プレゼンテーションの様子 |
よって当院の患者数は7年で3倍に増えました。そしてそれは当院の身体に優しい治療法の導入と相関関係があります。具体的に言うと「より少ない薬剤・より安全な薬剤の使用」をこころがけております。今までの排卵誘発は身体にとってハードなものでした。妊娠に失敗すると卵巣にダメージが残る方法でした。過度な排卵誘発によって早発閉経が起こることもあるわけですが全部運命と言われていた経緯があります。そこで我々は女性の身体が許してくれるであろう量として今までの5分の1の薬剤量で排卵誘発を行って成績をあげております。
当院が使うメインの薬剤であるクロミフェンの働きはまだよくわかっていない点がありますが、当院にはこの薬剤の適切な使用に必要な臨床経験データが豊富に貯えられています。日本では体外受精に使うケースはまだ少ないのですが、我々は上記の理由でクロミフェンを有効に活用しているわけです。
それから当院では卵子の凍結技術に力を入れております。その技術のメインはガラス化保存です。日本の80%の凍結がこのガラス化保存です。我々の凍結の数は全ヨーロッパの3分の2にあたる数を行っています。卵子が2~3個とれるケースでも必ずガラス化保存をして、失敗した時の備えとしておいておきます。
加藤院長の説明の様子 |
未受精卵子の凍結保存技術の進歩により、2つのことが可能となっています。まず白血病や血液のガンの場合、治療を行うと卵巣機能を失います。そこで卵巣組織を前もって保存するということで、挙児希望をかなえると言うことです。もう一つは事情があり、現在では妊娠できないという女性に対して未受精卵を凍結保存しておくというサービスです。これは少子化対策になるのではないかと思います。
■Mr.Hans Hoogervorst氏の質問2
解説ありがとうございます。素晴らしい技術だと思います。当国のアムステルダム大学ではこの技術を導入されていますか?
■加藤院長の回答
まだ導入はされていませんが、先月、大学の方からメールを頂いております。近日中に当院のスタッフを派遣したいと思っております。
日本のSEX回数、最下位のワケ
この後、オランダの視察団の方々と院内視察へ移動となりました。その前にジャーナリストからの質問ということで、池上からMr.Hans Hoogervorst氏に質問をさせて頂きました。テレビクルーの取材も同時に行なわれました。 |
■池上:お会いできて光栄です。一つだけ質問させて下さい。世界的なコンドームメーカー「デュレックス社」のデータによるとオランダ人のSEXの数は世界第4位、一方日本の数は世界最低になっております。その回数の差は倍以上あります。よってオランダ人ご夫婦の仲の良さの秘訣を日本に伝えたいと思うのですが、ミニスターからアドバイスがあれば宜しくお願い致します。
■Mr.Hans Hoogervorst氏:爆笑!う~ん、特に秘訣はないと思うのですが、やはり日本の男性は仕事やストレスで疲れているような印象を受けます。よって生活の中でどのようにストレスの解消をしていくのかと言う部分にスポットを当てるべきではないでしょうか?
と嬉しそうに話して頂きました。その後のレセプションパーティでもその話題で盛り上がったそうですので相当印象に残ったようです。