どんな新薬なの?

昨年12月、不妊治療においての久しぶりの新薬が出ました。しかし、年末の忙しさにその情報はほとんど世に出ていないと思います。

新薬が出てくることにより、今年こそは妊娠・出産したいと思われている方にとって治療のオプションが増え、福音となるのではないでしょうか。
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ルティナス膣錠100mgです。


今回上市された新薬は黄体ホルモン製剤プロゲステロン(商品名:ルティナス腟錠100mg)という製品です。

皆さまに詳しい情報をお届けしたいと思い、製造・販売元であるフェリング・ファーマ株式会社に取材を申し込んだところ、快諾して頂きました。今回はその様子をお伝えしたいと思います。

取材を受けて頂いたのはフェリング・ファーマ株式会社リプロダクティブヘルス マーケティング部の新家さんです。

それでは取材の内容をどうぞ!

ルティナスは妊娠の維持に大切な「黄体ホルモン」そのもの

ガイド:今回は取材を受けて頂き、ありがとうございます。さて、さっそくですが、御社の新薬ルティナス腟錠はどんな効能効果を持っているのでしょうか?

新家さん:はい、ルティナスの効能・効果は「生殖補助医療における黄体補充」となっております。

ルティナスは妊娠の維持に大切な黄体ホルモンそのものです。通常、排卵した卵胞は黄体というものになり、そこから黄体ホルモン(プロゲステロン)が分泌されます。それが、子宮内膜の環境を良くし妊娠するための準備を行い、妊娠判定後は妊娠を継続します。

しかし、体外受精や顕微授精の治療において、連日のホルモン製剤の投与や採卵に伴う顆粒膜細胞の剥脱による黄体機能の低下が認められます。

この黄体機能低下に対して、プロゲステロンを外から投与し、黄体補充を行うことで、妊娠率が向上することが確認されていますので、生殖補助医療には欠かせない製剤なのですが、日本では認可された薬剤はありませんでした。

そこで今回のルティナスは日本で初めて「生殖補助医療における黄体補充」という適応症を取得した、待ち望まれた新薬になります。

膣剤という投与方法のメリットは

ガイド:腟剤という薬の使い方はなかなかないと思うのですが、今回ルティナスがこのような投与方法になった理由を教えてください。

新家さん:今まで日本でも黄体ホルモンを不妊治療に活用してきましたが、それは合成黄体ホルモン経口薬(飲み薬)や筋注での投与方法でした。また、これらの黄体ホルモンには不妊治療における適応症は認めておられず、ドクターの判断で投与されていたのが現状です。
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フェリングファーマは不妊治療分野における世界的ブランドの一つです。


実は海外では、現時点でほぼ80%が不妊治療における黄体補充は膣剤を使っています。それは経口薬や筋注は血液を通して肝臓の代謝を受けることになり、その効果が減弱してしまう可能性があること。そして、膣剤の場合は標的臓器である子宮内膜にプロゲステロンを効果的に送達できるメリットがあるからと言えます。

一部の医療機関では、このような腟剤の有用性から、海外で認可された腟剤を個人輸入して患者さんに処方されていました。

ガイド:日本においてはなかなか不妊治療における新薬が出にくい状況にありましたが、今回このように認められるにあたり、何か工夫や特筆すべきことがあったのでしょうか?

新家さん:ルティナスは海外において2007年6月に米国で承認されて以降、2014年9月までに世界36カ国で承認されています。その状況をふまえ、2009年8月に日本受精着床学会からプロゲステロン膣製剤の早期開発・承認の要望書が厚労省に提出されました。

また、患者さんの団体からも痛みの強い筋注や連日の通院は患者さんへの不利益が大きいということで膣剤による黄体補充について要望書を提出されたのも大きな後押しになったと思います。

また2010年5月「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」は医療上の必要性に関わる基準に該当するものと判断し、厚生労働省が腟剤の開発企業を募集しており、本当にメディカルニーズの高い薬剤でした。

このような背景のなか、フェリング社は国内第3相臨床試験(対象:IVF-ETまたはICSIを受ける女性)を最速で進め、有効性及び安全性が確認され、今回の承認に至りました。