不妊症/不妊症の基礎知識・治療法・薬

本当に不妊症は少子化の原因なの?(2ページ目)

厚生労働省や調査機関が一生懸命に考えているテーマを一介のガイドが書くのは僭越ですが、オールアバウト不妊治療ガイドの視点から検証していきたいと思います。

執筆者:池上 文尋

不妊と少子化の関係


不妊患者が増えていることが少子化の原因では?とよく聞かれますが、出生率が低くなっている原因は「結婚しない人の増加」が最も大きな理由だと考えられます。その理由として事実、結婚した女性が生涯で産む子供の数「完結出生児数」は約2.2人で、それは1972年から変っていないということです。

また日本人の晩婚化も要因の1つかなと考えています。それは不妊の要因を増やし、なおかつ結婚しないということにも結びつくからです。

関連サイト
安定していた出生児数

晩婚化グラフ

よって、不妊が少子化に直接的に関わっている可能性はそんなに大きな要因ではないと考えられます。ただ、不妊治療を積極的に行う事は子供を増やす事ですから、少子化の歯止めには1つの対策となります。よって国や自治体の対策として助成金の交付や公立の不妊相談センターの普及が急速に進んだのはその一貫ということが出来ると思います。
PCO
若いうちにどんどん結婚できる社会環境が少子化を防ぐのかも?

上記のデータから考えると結婚する人を増やす事、そして結婚したら出来るだけ早く子供を作ることが出来れば少子化対策になるなと感じた次第です。

結婚と離婚と少子化


上記でも少し触れましたが、結婚する数が減っている事、そして晩婚化が少子化の理由と言えるかと思いますが、もう1つ付け加えるとすれば、離婚率の増加も挙げられると思います。

現在日本の離婚数は1年に30万組近く、それも結婚3年未満の方がほとんどです。この期間は妊娠するのに一番適している時期なわけで、この時期に離婚問題が起これば子供を作ろうという意思はなくなるはずです。子供を産んで別れるという選択肢もありますが、日本では養育費や助成金についても離婚後確実に得られるという確証もなく、生活リスクが高くなるので子供を産まない夫婦が増えています。

結婚のための出会い、そしてそれを維持して、離婚を防止する社会的サポートがあればと思うのですが、結婚、離婚は今の時代の価値観の多様化により反映されているもので、対策を打ったからといってすぐに効果のでるものではないと感じます。

関連サイト
オールアバウト離婚
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