血液中のホルモン検査やホルモン負荷試験、卵巣の超音波検査で診断します。 ホルモン検査では、LHがFSHより多い(正常のときはFSHのほうが多い)という特徴があります。テストステロンもしばしば増加しています。
超音波検査では卵巣に普通より多い数の卵胞が見えます。腹腔鏡下手術で卵巣のごく一部をとって顕微鏡検査をすることもあります。
多嚢胞性卵巣の7割の女性は排卵に問題をおこすため、不妊症になる可能性が高くなります
根本的な治療法はまだわかっていません。 妊娠を希望される場合は排卵誘発を行います。排卵誘発剤クロミフェン・クロミッドをサイクル2~6日の間服用し、8割の女性は排卵をおこします。またhMG-hCG療法という排卵をおこすための注射療法を行ったりします。PCOSの場合は、排卵誘発を行ったときに、卵巣過剰刺激症候群とよばれる副作用をおこしやすい傾向があるので注意が必要です。
腹腔鏡下手術で卵巣の表面に小さな穴をたくさんあけ、排卵を促すと方法も行われることがあります。 副腎皮質ホルモンを併用することもあります。
さしあたり妊娠の希望がない場合は、月経を周期的におこすような治療を行います。これには、カウフマン療法とよばれるホルモン療法や、低用量ピルなどのホルモン剤を使います。
最近の研究でグリコラン(メトフォルミン)というこれまで糖尿病の患者に使われてきた薬が、PCOSなどの排卵に問題がある女性に効果があるのがわかり、使用されるようになりました。グリコラン(メトフォルミン)がPCOSの女性には効果があるとされています。通常500mgを日に3度服用、4週間してからホルモン値、腎機能、肝機能などの血液検査をし、排卵状況をさぐります。各自の状況により、さらにエコー、クロミッドとの併用など服用や検査の仕方がさまざまです。
グリコラン(メトフォルミン)は、インスリン抵抗性が高血糖の原因と考えられるインスリン非依存型糖尿病の治療薬です。PCOSの病因は、卵巣内アンドロゲン濃度の上昇であり、機能性卵巣アンドロゲン過剰分泌と理解されています。インスリンは直接卵巣に作用して、卵巣内のアンドロゲン産生を促進する働きがあります。PCOSの患者がグリコラン(メトフォルミン)を内服すると、血中のインスリンが減少し、その結果、卵巣内のアンドロゲンが減少すると報告されています。
★関連文献
クロミフェン抵抗性多嚢胞性卵巣症候群に対するメトフォルミン併用療法の有用性の検討
まとめ
最近、取材をしているとこの多嚢胞性卵巣症候群(PCO)が増えていると不妊専門クリニックのドクターは言われています。それは食生活の乱れやストレスの増大といったものが内分泌に影響を与えているためと思われます。
よってPCOだと言われた患者さんはドクターの指示に従って治療するのはもちろんの事ですが、自分の身体と環境を今一度、見直すという作業を強くお勧め致します。甘いものを多く摂っていないか、ストレスをきちんと解消しているか、睡眠はきちんと取っているかという基本的な部分を再確認してみてはいかがでしょうか?PCOという身体からのメッセージを忠実に受け取ることも妊娠するためには大事な事だと思います。
★関連サイト
多嚢胞性卵巣症候群ってなあに?
不妊症治療薬と副作用