不妊症/女性不妊の原因・検査法

多嚢胞性卵巣症候群、その症状について

多嚢胞性卵巣症候群(Polycystic Ovary Syndrome)とは卵胞が卵巣の中にたくさんでき、ある程度大きくはなるのですが、排卵が起こりにくくなる疾患です。不妊症の原因の1つです。

執筆者:池上 文尋

多嚢胞性卵巣症候群とは?

卵巣にはたくさんの卵細胞があり、平均して月にひとつずつ成熟し、排卵します。卵細胞は卵胞という袋に包まれていて、発育するにつれてこの袋が大きくなっていき、およそ2cmくらいの大きさになると破裂して、卵胞の中の液体とともに卵細胞が排卵されます。

多嚢胞性卵巣症候群とは卵胞が卵巣の中にたくさんでき、ある程度の大きさにはなるのですが、排卵がおこりにくくなる病気です。多嚢胞性卵巣症候群というのは長い名前のために、polycystic ovary syndromeという英語の病名の頭文字をとって、PCOSまたはPCOと呼ばれます。


多嚢胞性卵巣症候群の症状

最も特徴的な症状は下記の通りです。

1)排卵がおこりにくいことによる月経不順や無月経
2)卵胞の中では男性ホルモン(テストステロン)が作られるため、血液中の男性ホルモンが増加。(月経不順の原因、毛深くなることもある)
3)肥満
4)黄体ホルモン分泌不全による月経過多や出血がとまらないなどの症状


脳下垂体からはLH(黄体化ホルモン)とFSH(卵胞刺激ホルモン)が出て卵巣に働き、卵胞の発育を促しますが、PCOSでは、このうちLHの分泌が増えてFSHとのバランスの乱れがおこり、卵胞がうまく発育できないようです。

排卵がおこらないと、排卵をさせようとさらにLHの分泌が増えるため、乱れがますますひどくなるという悪循環に陥ります。

近年、PCOSはインシュリンと関連しているものと思われています。インシュリンとはすい臓から分泌されるホルモンで、グルコースから体にエネルギーが得られるようにするものです。多嚢胞性卵巣により、このメカニズムに影響する細胞ができ、インシュリンの量が増加するためにより、さらに男性ホルモンも増加するのではないかと言われています。(これにより月経不順、毛深くなります。)



ある研究では多嚢胞性卵巣の30%の女性にこの症状がみられ、75%が肥満であるとされています。

しかしまだわからないメカニズムもあり、現在研究が進められている状況です。(パート2に続きます)

多嚢胞性卵巣症候群ってなあに?(2)
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