歯周病がなぜ全身に影響する?
歯茎で見えない根に付着した歯周病菌が体全体へと流れていく |
そもそも歯周病は、歯周病菌が歯と歯茎の境目に集まることからはじまります。そして歯周病菌が出す毒素によって歯茎が炎症を起こします。歯茎は毛細血管が豊富にあるため、炎症が起こると出血しやすくなるのです。
歯周病菌は、その毛細血管などから血管に入り込み、体全体へと巡っていくのです。血管以外でも歯周病菌が唾液などに溶け込むなどして、唾液を飲み込むことによって、歯周病菌が気管や肺、食道に流れ込むことが考えられます。
歯周病菌がリスクを高める疾患とは?
歯周病の影響がリスクとなって、影響を与える可能性がある疾患は、主に次のようなものがあります。- 狭心症、心筋梗塞
- 感染性心内膜炎
- 糖尿病の悪化
- 早産
- 肺炎
- がん
血液中の歯周病菌が、その毒素や炎症反応の影響で、心臓の冠動脈などが血栓によって詰まる原因となることがあります。歯周病が進行していると、これらの心疾患になる確立が約3.6倍も高まります。
すでに心臓に病気がある場合などは、血液に入り込んだ歯周病菌が、人工弁や心内膜などに歯周病菌が付着して増殖、感染性心内膜炎になることがあります。
血管に歯周病菌が入り込むと炎症反応が起こり、インスリンの活動に障害を起こします。その結果血糖値のコントロールが悪くなり、今度は口の中の歯周病菌が繁殖、ますます歯周病が悪化する悪い循環に陥ることがあります。
妊娠中に歯周病菌が血管内に入り込むと、炎症反応により、子宮筋を収縮させたり、胎児の成長に影響を与えて低体重出産になりやすくなります。歯周病が進行している場合には、そうでない場合の約7~8倍リスクが高まると言われています。
要介護の高齢者などは、謝って唾液を気管に入れてしまうことが少なくありません。歯周病菌などが多く唾液中に含まれていると、誤嚥性肺炎を起こすことがあります。これは寝たきりの状態の長期化につながります。
最近では、歯周病によりがんのリスクが高まる可能性があるとの研究結果も報告されています。
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