20代でも7割の人が該当!? 人から人へと感染する歯周病

感染したくない

唾液中に溶け込んでいる歯周病菌についてどう考えたらいいのだろう?


厚生労働省が3年ごとに実施している「患者調査」の平成26年調査によると、「歯肉炎及び歯周疾患」の総患者数は331万5,000人。前回の調査よりも65万人以上増加しているようです。

乳児の場合は、たとえ歯周病に感染しても骨が溶けるような状態にまでは至らず、主に歯肉が赤く腫れる歯肉炎で終わります。しかし、成人になってから歯周病になると、歯の周囲から膿が出たり、骨が溶けて歯がグラグラになるなど、歯肉炎が悪化した状態にまで至ります。

歯周病の有病率は、20代で約7割、30~50代は約8割、60代では約9割にも及び、歯周病のリスクは歯がある限り続きます。健康な歯を維持するためには、20代~30代からの予防が大切になるのです。

誕生時は無菌状態? 赤ちゃんが歯周病や虫歯にならない理由

信じられないかもしれませんが、赤ちゃんが生まれてきた時の口の中に、虫歯菌や歯周病菌などの細菌は存在せず、無菌状態だと言われています。当然虫歯になることも、歯周病になるリスクも全くない状態です。しかし、生活をしていくうちに、いつの間にか虫歯菌や歯周病菌が口の中に入り込み、細菌が増殖して、プラーク(歯垢)を作ります。日常生活を送る上でどうしても唾液などを介して、虫歯菌や歯周病菌が口内に入ってしまうためです。

ある研究によると、虫歯菌は最初に侵入するタイミングを遅らせることができれば、その後の虫歯リスクを低下させることができると言われています。この虫歯菌の初期感染が起こりやすい期間を「感染の窓」と呼びます。最近では主に離乳食が始まってから乳歯が生えそろうまでの26ヶ月を特に重要視しています。

大人同士でも感染する? キスで移動する細菌数は8000万個

歯周病は細菌感染症なので、前述の通り、歯周病の予防は高齢者だけではなく、比較的若い方にも必要です。10秒のキスで移動する細菌数は8000万個との研究もあります。もちろん全てが歯周病菌や虫歯菌などの悪い菌ではありませんが、家族やパートナーなど、日々スキンシップをする相手がいて、相手の口内環境に問題がある場合は、そうでない方よりも歯周病感染リスクは高いといえます。

さらに注意が必要なのは、家族同然に接しているペットがいて、人と同じようにキスなどのスキンシップをしている場合です。人間の歯周病菌がペットに感染し、その後別の人間に感染させる可能性も出てきます。ある研究には、猫では3歳以上で約8割、犬では6割が歯周病という報告もあります。人間同士だけではなく、ペットを介した感染にも注意した方が良いかもしれません。

1千億もの菌を含む細菌集団・プラークを作らないことが大切

現実問題として、歯周病菌に感染しない生活を送るのは困難なことだと思います。「細菌の感染経路」と考えるとちょっと怖い感じがしますが、歯周病だけに目を向けると実は大したことはありません。歯周病菌に感染したからといってすぐに歯周病を発症してトラブルになるわけではないからです。

キスで8000万個の細菌が移動すると書きましたが、その中に歯周病菌や虫歯菌が含まれていても、それ自体は大きな問題ではありません。それらが口の中で増殖しプラークになることで、虫歯や歯周病の原因になってしまうことが問題なのです。プラークは1グラムに1千億~1兆個の細菌を含む細菌集団です。つまり歯周病予防のためには、細菌感染経路を神経質に遮断することよりも、日々の丁寧なブラッシングを心がけることの方が、有用かつ効率的と言えます。

歯周病予防に大事なのは、毎日の歯磨きと定期検診

そして、歯周病を悪化させるファクターにも注意が必要です。煙草は歯周病を悪化させる因子の一つですし、歯並びや噛み合わせのバランスのズレも当然、歯周病リスクの増大に繋がってしまいます。

リスクはあるものの、歯周病の予防方法は既に確立されています。ブラッシングによるプラークコントロールの徹底と定期的な歯石の除去がきちんと行われていれば、歯周病のリスクは大幅に低下します。日常生活を送る中や、パートナーとのキスなどで歯周病菌には感染するかもしれませんが、歯周病の症状がそのまま感染するわけではありません。そのため、過度な心配は必要ないのです。

虫歯や歯周病は予防できます。定期的に歯科検診を受けるなどして、健康で綺麗な口内環境を保ちましょう。
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