緑内障には、急性の緑内障と慢性の緑内障があります。急性の緑内障は、目の痛みがありますが、慢性の緑内障は自覚症状が乏しいので治療の開始がしばしば遅れます。緑内障が進むと視野が狭くなり、最終的に失明します。また、治療により、進行を止めることはできますが、視野と視力は回復しません。
そこで、早期発見のための、テレビ画面を使った家庭できる検査方法を解説したいと思います。
【緑内障は多い病気です】
緑内障は、白内障の「しろそこひ」に対して「あおそこひ」とも呼ばれています。紀元前4-5世紀のギリシャの医学の祖と言われるヒポクラテスの記述に「目が地中海の海の色のように青くなり、やがて失明状態になる」とあるところから由来しています。もっとも、日本人は黄色人種のために、緑内障になっても瞳が青く見えることはほとんどありません。
緑内障の人は日本国内に推定で200万人~300万人います。しかし、40才以上に限れば、20~30人に1人が緑内障の可能性があります。10代でも発症することがあるので、20代、30代だからといって安心はできません。
教科書的な急性緑内障の人は目の痛みがあるので、眼科を受診することになります。一方、自覚症状に乏しい慢性緑内障は治療の開始がしばしば遅れてしまいます。現状、緑内障の人の80%は治療を受けていないと言われています。それによって、毎年数千人の人が失明しているという現実があります。
【緑内障では視野検査が大切です】
目の病気は、視力が落ちる、普段見えないものが見える、目が痛い、目がかゆいなどの自覚症状があります。通常の目の検査では(I)視力検査、(II)眼圧検査、(III)眼底検査を実施します。緑内障の検査ではそれに加え(IV)視野検査が大切です。
(I)視力検査
視力は、初期の緑内障では変化がありません。眼鏡やコンタクトレンズを使用して視力が出ていて、免許の更新ができても、緑内障の可能性はあります。
(II)眼圧検査
眼圧は緑内障では、上昇することが多いのですが、眼圧が上昇しない正常眼圧の緑内障では上昇しません。
(III)眼底検査
緑内障では眼底の変化が起きますが、健康診断の時に行われる無散瞳眼底カメラによる眼底写真では、判読が難しいので見落としがあります。緑内障の眼底検査を眼科医が行った場合は、焦点深度により画像が異なる眼底カメラと違って、眼底の深さによる変化がわかるので、見落としは少ないです。
以上に述べたように視力検査、眼圧検査、眼底検査を実施しても、緑内障の見落としがあります。慢性型の緑内障は視力低下ではなく、普段自覚できない視野がゆっくり狭くなって行きます。視野検査をすれば、視力が落ちず、眼圧が正常、眼底の変化も少ない初期の緑内障でも発見することができます。