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脂肪が燃えると増える?除脂肪体重の不思議(2ページ目)

脂肪が燃えると痩せると考えがちですね。体の仕組みは、脂肪が燃えると水(代謝水)ができます。実は、できる水の量が燃えた脂肪の量より少し多いので体重(除脂肪体重)は増えてしまうんです。

西園寺 克

執筆者:西園寺 克

医師 / 感染症・健康情報ガイド

蓄えているのは中性脂肪です。

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中性脂肪はEに似た形です。
脂肪には皮下脂肪や内臓脂肪に蓄えている中性脂肪と実際に使う脂肪酸があります。脂肪酸は文字通り、構造的には酸性の物質です。

一方、中性脂肪は酸性でもなくアルカリ性でもないので中性脂肪と呼びます。中性脂肪は脂肪酸とグリセリンが結合してできています。中性脂肪が分解すると脂肪酸とグリセリンになります。グリセリンは肝臓でブドウ糖の原料となります。



キッチンで脂肪算:脂肪酸=酢+スターチ-酸素

実際、脂肪酸が燃える構造を考えてみましょう。元素記号を見ただけで、頭がくらくらする人がいるのもたしか。記号を使わずに説明をしてみます。


脂肪の燃える仕組みを知るために、まずキッチンに行って下さい。用意するのは、酢とスターチ(炭水化物)です。ちなみに炭水化物は文字通りに、炭素+水です。実際の化学反応とは少し異なりますが、脂肪酸の構造は、酢とスターチを足して酸素を抜いた構造です。そのために燃やす時には、抜けた酸素がないと燃やすことができません。

酸素を使って燃やした時にできる水が脂肪酸からできた代謝水です。脂肪を燃やすと二酸化炭素と水と酢(酢酸)ができます。脂肪酸の酸の部分は酢と考えて問題ありません。

脂肪酸の構造により、含んでいる水素量が異なるので、燃えた後にできる代謝水の量も異なります。酢酸の部分は燃えないので、室温で液体のいわゆる植物性脂肪よりも、室温で固体のいわゆる動物性脂肪の方が同じ重さを燃やした場合は最終的に代謝水が多くできます。

炭水化物からの代謝水については別の機会にしたいと思います。ちなみに炭水化物からできる代謝水の重さは元の炭水化物の重さより軽い計算となります。

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ラクダの瘤は中性脂肪です。
ラクダの瘤は中性脂肪ですので分解すると脂肪酸とグリセリンになります。脂肪酸を燃やせば二酸化炭素と水と酢ができて、グリセリンからはブドウ糖ができて、乾燥した砂漠でも水無しに生きていけるのです。


代謝水は脂肪酸100gから100mL以上できるので脂肪が燃えると体重が、正確には除脂肪体重が増えるというのは本当なのです。



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