環境や諸条件は揃っています。上昇局面だと言われている金利もまだ低金利。住宅ローン控除などの税制優遇もある。さらにマンションの供給戸数が多く選び放題。とくれば、まさに買い時と言えるでしょう。でも忘れてならないのは、主役であるあなた自身のこと。
今回の記事は、もしかしたら勢いだけで決めようとしているあなた、比較しないで一目惚れしたマンションを購入しようとしているあなたへ、「今一度冷静になって」のメッセージです。
一目惚れしていませんか?
マンションは返品や交換はできません。慎重に選びましょう |
初めて見学したモデルルームの第一印象は鮮明で、それは他に比較する対象(他のモデルルーム)がまだなく、ついつい現在の住まいと比較してしまうからです。現在の住まいと比較すると、なんとモデルルームの綺麗で新しいことか。最新設備もばっちり揃っているでしょう。万が一、あなたが購入しようとしているマンションが初めてモデルルーム見学に行った時のものであれば、今一度冷静になって他のマンションと比較してみてください。
比較してやっぱりコレ!となればそれがあなたの“お城”なのでしょう。もし、?マークが出るようであれば、時間をかけてそのマンションで良いのかどうか検証してくださいね。
お財布の中身は大丈夫?
いくら外的環境が整っていても、あなたの財源が十分でなければ時期尚早です。資金計画は充分吟味しましたか?返済計画はあなたのライフスタイルに合ったものですか?まずは以下の項目をセルフチェックしてみましょう。
●セルフチェック
□家計簿・小遣い帳をつけている
□旅行代や車の買い替えなど、3年先、5年先の出費がイメージできている
□生涯収入・生涯支出を意識したことがある
□住宅ローンの返済は、現在の年収が続くことを前提としている
□住宅ローンの返済は、定年まで働き続けることを前提としている
□住宅ローンの返済は、60歳以降も続く(完済時期が60歳以降である)
いかがでしたか?お小遣い帳や家計簿などを一度もつけないまま購入に踏み切ろうとしているのであれば、かなり危険度が高いですね。購入後の住宅ローン返済があなたの生活に及ぼす影響は、把握できていますか?「住宅ローンの返済はこれまでの家賃と同額だからへっちゃらよ」かもしれませんが、マンションには管理費・修繕積立金、駐車場を契約するならその費用、などが必要です。毎月必要となる住居関連費をローン返済に加算したうえで「家賃と同額」であればよいのですが。さてあなたの場合は、いかがでしょう。
次に、将来の支出の見込みです。人生にはまとまった支出を伴う出来事が発生します。ライフイベントと呼ばれるそれらは、予想して計画を立てられるものもあれば、アクシデントのように突然発生するものもあります。まだこれから50余年もある人生。20~30年はローンとともに歩んで行かねばなりません。その間のあなたの収入は住宅ローンだけに使えるのではなく、生活費、娯楽費、老後資金、その他のライフイベント費にも充てられるべきものです。だからこそ、目の前の条件さえクリアできれば、とマンション購入に踏み切るのではなく、将来のライフイベント支出を見込んで無理のない返済計画を立てていただきたいと思います。考え方は以下のとおりです。
●現在28歳 年収400万円、毎月の生活費15万円のあなたの場合
〔生涯収入〕
・勤労収入:400万円×(60歳(定年)―28歳)=1億2800万円
〔生涯支出〕
・生活費:15万円×12ヶ月×(80歳―28歳)=9,360万円
・海外旅行・車の買い替えなどのイベント費:300万円
〔生涯収入〕1億2800万円―〔生涯支出〕9,660万円=〔残金〕3,140万円
この残金3,140万円の範囲でマンションを購入し、ローンの利息や管理費等を支払える計画でなければ、あなたは “破綻” ということになります。世の中で起きている“ローン破綻”の仕組みです。マンションを購入したことで必要となる住居費の総予算が生涯収入からはみ出した結果です。
ただし、上記の計算式はあくまでも概算。収入には、退職金や年金収入が加算されますし、年収が右肩上がりとなれば、生涯収入も増加します。さらに、今あなたが住宅資金に充てられる貯金を1000万円持っていれば、それだけ住宅予算はアップしますね。反対に支出の方も増加することが予想されますので、この試算を行なうには、「収入は少なめに支出は多めに見込む」ことがコツです。
セルフチェックの項目にも入れましたが、住宅ローンは現在の年収が基準となります。将来にわたって同じ年収が確保できなければ、支払いは厳しいものとなってしまいます。返済計画は、生涯年収を意識しながら、少し余裕を持って組んでください。
次ページでは、そのマンションがあなたにとってどうか、についてみていきましょう。