鉄分の過剰摂取に要注意
肉・野菜を組み合わせて料理をすると相乗効果が生まれることもあります。ある意味では漢方薬の考え方に近いのではないでしょうか |
昔から「お茶(コーヒー・紅茶)と一緒に鉄剤を服用すると効果が低下する」、ということが知られていますが、これはお茶のタンニン酸という成分が胃酸によってイオン化した鉄(free Fe3+)に反応するためです。胃薬や抗菌薬(抗生物質)の一部、甲状腺ホルモン剤などと一緒に服用しても吸収される鉄分は低下します。また、胃薬と同様に胃酸が乏しい状態、例えば胃の手術で部分もしくは全切除を受けられた方では食事中からの鉄分も吸収されにくくなります。
サプリメントとして服用する量とポイントは?
前ページでご説明しましたように、食事中に10mg含まれていても吸収される量はせいぜい1mgと、鉄分はもともと吸収されにくい物質です(正常では5~10%の吸収率)。しかし、稀ですが過剰摂取によって害となることもありますので、体内にどの程度鉄が貯蔵されているのかを確認しながら治療を行います。この点を踏まえた上での参考ですが、医療機関で「鉄欠乏性貧血」の治療として処方する鉄剤の目安は、1日に鉄(Fe)として100~200mgです。食事中の目安からすると10倍以上ですが、これは鉄分の貯金というべき、貯蔵鉄も補う必要があるためです。
鉄乏性貧血ではヘモグロビン濃度は約1ヶ月してから徐々に上昇して一定の状態に達しますが、短期間で服用を中止すると貧血が再発することがあります。このため、貧血が改善してからも1~3ヶ月ぐらい、血液検査を行いながら治療を続けます。鉄分を効率良く吸収するためには、ビタミンCも一緒に摂取することもポイントです。貧血に関連する代表的な栄養素とそれを多く含む食品の例を挙げてみました。
- 鉄……ほうれん草、パセリ、納豆、マグロ、寒天、プルーンなど
- ビタミンC……レモン、かんきつ類、お茶(煎茶)など
- ビタミンB6……マグロの赤身、牛レバー、にんにくなど
- ビタミンB12……さけ(魚のシロザケ)
- 葉酸……アスパラガス、お茶(煎茶)
市販されているサプリメントによっては、原因の異なる貧血の治療を総合的に改善することを目的として、鉄・ビタミンB群・ビタミンC・葉酸などを配合した商品もあるようです。品種・土壌の変化で鉄分の含有量は昔に比べて低下していますが、まずは昔ながらの食事療法、ほうれん草で鉄分を蓄えましょう。
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