食と健康/食と健康の基礎知識

食べ物でダイオキシンを低減!(2ページ目)

私たちは大気、土壌、水、食べ物などを通してダイオキシンをカラダに取り込んでいます。食物を通して取り込む量は、全体の95%以上。特に汚染がひどいのは、大都市周辺で捕獲された魚介類です。

南 恵子

執筆者:南 恵子

NR・サプリメントアドバイザー / 食と健康ガイド

◆ダイオキシンから身を守るためには

まず、ダイオキシンに汚染された食べ物を食べないこと(かなり難しい)。日本同様魚介類を多く食べるスウェーデンでは、ダイオキシン濃度が高いため子どもを産める年齢の女性にバルト海でとれたサケやニシンを食べないように勧告しているそうです。魚介類に限らず肉類・卵・穀類・野菜なども、できるだけ汚染されていない場所や生育履歴のわかる食べ物を選びましょう。

それから、食べ物とは別ですが、塩化ビニールなどの成分を含み焼却時にダイオキシンが発生する製品を買わない、家庭のゴミを庭などで焼かない、回収ゴミはきちんと分別して出すなど、私たちがダイオキシンを出す量を経減らすことも考えないといけませんよね。

◆食生活の工夫で、ダイオキシンを排出

でも知らずに食べてしまうケースの方が、現実問題多いのですから、とってしまったダイオキシンをできるだけ体内から排出する努力をしましょう。

カネミ油症患者の毒物排出に取り組む福岡県保健環境研究所の森田邦正氏らのラットの実験(平成10~12年)では、基本食に食物繊維や緑黄色野菜、海草類を加えることで、ダイオキシン類の糞中排出量を2~4倍とUPさせることができました。「食生活を工夫することで、体内に入ってくるダイオキシンの吸収を抑制し、糞中に排出することを促進できる」と森田氏は強調します。

■食物繊維
体内に入ったダイオキシンは、小腸から吸収された後血液とともに体中をめぐり、最終的には主に肝臓と脂肪組織に蓄積されます。でもそのままとどまるわけではなく、胆汁や腸液などを通じて消化管内に排出され、再吸収されたり、大便とともに排出されたりします。ところが、小腸で食物繊維と出会うと、ダイオキシンは食物繊維に吸着され、大便として体外に排出されます。特に米の糠は、約4倍(糠を加えない場合と比べて)の効果があります。

●ダイオキシンをよく吸収する食物繊維(数値は吸着率)
品名 %
米ぬか繊維 86.6
はくさい繊維 51.6
大豆繊維 49.1
ほうれん草 71.6
大根繊維/葉 70.2
ごぼう繊維 53.8
キャベツ繊維 64.8
にんじん繊維 38.7
森田邦正氏 福岡県保健環境研究所による調査 一部抜粋

■緑黄色野菜・海藻など
緑黄色野菜や海草類などに含まれる葉緑素(クロロフィル)は、それ自体に体内の掃除をするスカベンジャー効果があり、ダイオキシンなどの有害物質を体内から排出する効果は、食物繊維より強いと言われています。

●葉緑素を多く含む緑黄色野菜
ほうれんそう 春菊 大根葉 小松菜 アシタバ モロヘイヤ

■食べるときには
●野菜などには、ダイオキシンが付着している可能性があります。できるだけ表面についているダイオキシンを落とすために、よく洗う、皮をむく、下茹でするなどしてから調理しましょう。
●食物繊維を含む食品・緑黄色野菜・海草類などの多種類の食品を上手く組み合わせてとる。また同じものばかり食べずに、リスクを分散しましょう。

◆母乳に含まれるダイオキシンが心配

脂肪に溶けやすい性質をもつダイオキシンは、母乳を通じてもお母さんの体内から排出されます。ですから、乳児に与える影響が心配され、母乳より人工乳の方がよいのではと考えている人もいます。

でも、牛乳は牛の赤ちゃんのためのおっぱい。さらに人工乳は、様々な添加物が含まれ化学合成されたものです。ヒトの赤ちゃんには、やはりヒトのおっぱいが自然。基本的には、母乳が出るなら、食物繊維や緑黄色野菜・海草類などの摂取を心がけて、母乳育児される方がよいと思います。

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