*今回の記事は、ある学会での『白血病治療中で極めて免疫機能が落ちている子供が食べて安全なファーストフードは?』という話題がもとになっています。*
夏から秋の行楽の季節は、食中毒に対する注意が必要です。
例えば、日本中どこの行楽地にもあるのが、ファーストフードのお店です。
ファーストフードはお店の中での衛生管理は保証されていても、持ち帰った後は自己責任で衛生管理をしなくてはいけません。でも、行楽地に出かけて車で移動していると、冷蔵庫はないし保冷箱も保冷剤の効果持続時間には限りがあります。
そんな時に、常温保存しても衛生管理に問題がないのがケンタッキーフライドチキンです。
そこで、ケンタッキーフライドチキンがなぜ常温で衛生管理に問題が生じないのかを説明します。
また、家庭でできる食中毒予防策も説明しますのでお役立てください。
【ケンタッキーフライドチキンの調理方法は乾熱滅菌】
ケンタッキーフライドチキンでは、チキンを乾熱滅菌に近い方法で調理しています。
乾熱滅菌とは、高温高圧で微生物を殲滅する(滅菌する)方法の事です。
乾熱滅菌を行うと使用前または使用済みの器具について病原菌を完全に殺すことができます。
具体的には、家庭の圧力釜と同じ方法で加圧状態で加温します。内部は100℃ではなくさらに高温状態となります。狂牛病の病原体のプリオンも一定条件の乾熱滅菌で病原性を失います。ですから、これに近い状態で調理した食べ物は、無菌状態となるというわけです。
ケンタッキーフライドチキンは、チキンとポテトの加温条件を公表しています。ケンタッキーフライドチキンは185℃×15分で加温します。この条件だとすべての病原菌が死滅することになり、病原菌が死滅したということは食中毒にはかからないということになります。
フライドポテトは 175℃×2分45秒の加熱をします。この条件では、ほとんどの病原菌は死滅しますが、チキンと比べると不十分です。ただしこの条件で死なないような耐熱性の病原菌は、通常の食品衛生環境に注意を払えば混入する可能性は極めてわずかです。
コールスローは元々保存食としてできたものです。殺菌力はドレッシングのお酢によるものです。ただ販売時に冷蔵で売っているために、保存中の温度が上がると味覚が変わります。早めに食べれば問題ありません。
【チキンとポテトの栄養価は?】
この二つの組合せは比較的調和が取れた食事です。鳥は蛋白質が豊富で、B群ビタミンもブタミンパワーの豚肉よりは劣りますがある程度含んでいます。高温で調理してあるので、軟骨まで食べることができるのでカルシウムも摂取できます。
しかし、チキンもポテトも加熱調理してあるので、加熱に弱いビタミンCの摂取に疑問が残りますね。
例外的に、いも類が澱粉の間に含むビタミンCは加熱に対して比較的安定です。この組合せでビタミンCも取る事ができます。
行楽地の紫外線を考慮して、ビタミンCが豊富な野菜か果物のジュースを合わせて飲みましょう。
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