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固定金利も変動金利も実行時金利に要注意!

住宅ローン選択において変動金利か固定金利かは大問題。金利の変動リスクを回避するため固定金利を選択するケースは多いのですが、固定金利にも変動金利にも共通する変動要素があります。それが実行時金利の問題です

大石 泉

執筆者:大石 泉

シングルのマンション購入ガイド

前回のガイド記事にて、『シングル的「長期固定金利型」派の言い分』をご紹介いたしました。マンション購入の話がより具体的になってくると、資金計画の決定時期が迫ってきます。変動金利にしようか、固定金利にしようか。住宅ローンの選択は本当に難しく複雑です。

住宅ローン金利の上昇が懸念される中、長期固定型の住宅ローンを検討している方も多いのではないでしょうか。金利上昇、返済額増額などのリスクを回避するための措置ですね。

マンション購入にあたっては、自分に適した資金計画を立てることが重要ですが、資金計画時点の住宅ローンの金利と実際の返済額が計算される時点の金利が異なることをご存知でしょうか。

今回は、固定金利にも変動金利にも共通する住宅ローンの「実行時金利」についてお話しいたします。


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不安は、金利が変動すること!?


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住宅ローン金利の上昇は心配の種
住宅ローンを選択する際、「金利が上昇するのは心配だ」と固定金利型が選択されるケースがある一方で、「金利が低いから」と変動金利型が選択されるケースがあります。変動金利型の場合、返済途中の金利上昇リスクへの備えが常の課題となってきます。住宅ローンの選択は、金利の変動リスクへの対処方法が鍵となとなります。

固定金利型を選択する方は、「金利も返済額も固定されるのだから変動要素がなく安心」と思いがち。ところが、固定金利型にも金利変動の要素があるのです。うっかりしていると、欲しいマンションが買えなくなる(?)のが、「実行時金利」の問題です。


実行時金利ってなぁに?


民間金融機関の住宅ローンの場合、実際の返済に適用される金利は、融資が実行される時点の金利。マンションの引渡し時期です。この返済額計算に適用される、融資実行時の金利のことを「実行時金利」と言います。これに対するものに住宅金融公庫融資の「申込み時金利」がありますが、こちらは融資の申込みをした時点の金利のことで、その時点の金利を元に返済額が計算されます。

新築マンションを購入する場合、マンションの竣工・引渡しが半年後、1年後ということも珍しくありませんね。販売センターで資金計画を立てている時点と融資が実行される時点ではタイムラグあり、その間に金利が上昇すれば、あなたが実際に支払う住宅ローンの返済額は、資金計画の数値を大きく上回ってしまいます。


ギリギリの返済プランは要注意


半年後や1年後に金利がどれくらいの水準になっているか、その時になってみないとわかりません。長期固定の金利は変動金利よりも比較的高めに設定されることが多いのですが、資金計画をギリギリで立てていれば、金利上昇による返済額の増額は、日々の生活へダイレクトに影響します。資金計画の見直しが必要です。

金利上昇は返済額の増額につながります。上昇幅が大きく、返済可能な金額を超えてしまうならば、返済額を適正値に抑えるために借入額を減額せざるを得ませんね。金利の上昇は、借入額にも影響することを認識しておきましょう。


資金計画⇒融資実行の間に金利が上昇すると、、、


3000万円のマンションを購入するとしましょう。毎月返済額を10万円に抑えることを主目的に頭金を200万円、借入れ2800万円で資金計画。金利3.0%、35年元利均等毎月返済のみで試算すると、毎月返済額は107,758円。かろうじて10万円台です。

マンションが竣工するまでに金利が上昇、実際の返済に適用される金利が0.5%上昇し3.5%になったとすると、毎月返済額は115,721円にアップ。返済可能額10万台の予算をオーバーしてしまいます。


自己資金に余裕がなければ購入計画の見直しも?


先の例では、毎月返済額を10万台に抑えるには、借入額を2600万円にしなければなりません。そうすれば、毎月返済額は107,455円。何とか10万円台の範囲です。

この場合、予定通り3000万円のマンションを購入するには、借入額から減額した200万円を頭金に追加しなければなりません。追加できなければ、希望する3000万円のマンションは購入できなくなってしまいます。資金計画、住宅購入計画の見直しが必要となるのです。

この実行時金利の問題は、固定金利だけでなく変動金利タイプの住宅ローンにもあてはまります。ギリギリで資金計画を組む場合は、金利上昇時の対応策をあわせてとっておくことが必要です。金利の上昇リスクは、返済中だけではなく返済開始前の問題でもあり、住宅購入計画に大きく影響することを肝に銘じておきましょう。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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