コンサルタントに課される守秘義務とは?
コンサルタントの守秘義務は、お客さんの経営そのものが対象になる
守秘義務とは、「職務上知ることのできた秘密を守る」義務のことをいいます。
守秘義務が課せられている仕事には、ほかにも弁護士や医者があります。弁護士の場合、弁護士の誓いといって、「我々は依頼人の秘密を絶対にまもります」というのを宣誓します。医者の場合でも、患者の病状やプライバシーについては他人に口外しないというのが、基本的な職業倫理になっています。
コンサルタントの場合、秘密にすべきものの対象が「お客さんの経営上の秘密」ですから大変です。例えば、「新規事業のコンサルティング」をしていて、その会社が世の中に新規事業を公表前する前に、コンサルタントの口から「A社は、IP電話に参入するらしいよ」なんてことがばれてしまったら、大問題です。株価に影響するばかりではなく、それを元に売買をしていれば、インサイダー取引になり、重い犯罪です。守秘義務を守れないコンサルタントは、お客さんの信頼を失って、まちがいなくクビということになります。
クライアント名すらも守秘義務対象
コンサルティングファームにおいては、クライアントの名前ですら守秘義務対象のことが多く、どこの会社のコンサルティングを行っているということすら口外できないのです。ですから、コンサルティングファームの仕事を語るとき、どうしても抽象的な表現を使わざるを得ない場合があります。例えば、「製造業の顧客情報システム革新」「大手電機メーカーの営業プロセスの再構築」といったように、詳しい内容がわからないような表現が使われます。戦略を専門とするファームの場合、さらに表現が曖昧です。「通信業の価格戦略」「小売業の新規事業」といった具合です。
こんな具合なので、外から聞いただけでは一体コンサルティングファームは、具体的にどういう仕事をしているのかなかなか理解しづらいというのが正直なところでしょう。世の中の多くの企業がコンサルタントを多数利用しているにもかかわらず、その内容は深いベールに包まれて、なかなか公表されません。
徐々に公表されつつあるプロジェクト事例も
しかし、近年、秘密のベールに包まれたプロジェクト事例が公表されるケースが徐々にで出てきました。アクセンチュアの森代表によれば、これにはお客さん側の意識変化というのも関係しているようです。「一昔前は、コンサルティングを利用して経営成果をあげるのは、経営者としては恥ずかしいことだという風潮があった。しかし、最近では、手段を問わず経営成果をあげることが重要になってきた。何を使おうが、コンサルティングを使おうが、結果として利益を出して、株価を上昇させた経営者が賞賛されるようになった。」
むしろ、コンサルティングの成果を公表をすることで、内外にアピールできる場合、お客さんの経営者自ら、事例を公表することもあるようです。たとえば他社に先駆けて革新的なシステムを導入した場合や、コスト削減に成功した場合などがこれにあたります。先駆けというイメージを知らしめるほか、経営への積極的な姿勢を株主にアピールするという効果があります。
■事例リンク
アクセンチュア
事例が豊富で、詳しいです。
アビームコンサルティング
PDFファイルで提供されておりで、事例数、内容共に極めて充実。
ほかにも各社ホームページにいろいろ掲載されていますので、ぜひ探してみてください。
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