コンサルタントで働く/コンサルタントの仕事

コンサルタントになるには?

コンサルタントになる(新卒で入社する)には?新卒採用の有無や、採用の時期、採用のステップとフローなどについて解説します。

執筆者:大石 哲之

新卒で採用を行っているコンサルティング会社はどこか?

多くの会社で新卒入社のチャンスあり
多くの会社で新卒入社のチャンスあり
コンサルタントになるための方法として、筆頭に挙げられるのが新卒でコンサルティング会社に入社することです。以下、カテゴリー別に、新卒採用の有無をまとめました。

総合ファーム、業務/ITファーム
アクセンチュア、アビームコンサルティング、IBMビジネスコンサルティングといった大規模な総合系ファームでは、他の大企業と同様に、定期的な新卒採用を行っています。採用人数も好況時には100名を超える採用を行うこともあり、多くの学生に門戸を開いてるといっていいでしょう。

フューチャーアーキテクトといった独立系ITファームも新卒採用を行っています。SAP、日本オラクル、ワークスアプリケーションズといった業務パッケージベンダーも新卒のコンサルタント職の採用を行っています。こちらも大規模なところでは、50~100名近い採用が行われたこともあります。

シンクタンク、総合研究所
シンクタンク・総合研究所などの日系企業では、必ずといっていいほど新卒採用を行っています。各社の規模によって差がありますが、数10名規模の採用があります。

外資戦略系ファーム
ボストン コンサルティング グループなどの戦略系のファームに関しても、定期的な新卒採用を行っています。ただし、もともとの会社規模が小さいため、採用人数は極少数。多いところで10数名、少ないところで数名という採用人数です。

人事、組織系のファーム
人事・組織系のファームではタイプが2つに分かれます。外資系のマーサー ジャパンやヘイ コンサルティング グループといったファームの場合、人事に関する専門的な知見が求められるため、人事経験者やコンサルタント経験者からの中途採用がほとんど。一方、リンクアンドモチベーションなどの日系企業は、新卒採用をメインにしていることがあります。

財務アドバイザリーファーム
デロイトトーマツ、PWCアドバイザリーといった財務アドバイザリーファームにおいては、主に会計士補合格者を対象に募集しているため、人数は限定的。

日系ファーム
船井総研、日本能率協会コンサルティングといった日系ファームでも、新卒採用は一般的で、各社10数名~数10名の採用があります。

今年は折からの不況により採用を絞る傾向にありますが、それでも新卒は一定数の採用があります。年齢に偏りない社員構成を行うために定期的な新卒採用は必ず行われます。中途採用のように、市況が悪くなったからといって採用を完全にストップしてしまうことは稀です。昨今の市況が厳しいなかでは、新卒でコンサルタント会社を目指す方法は有効ではないでしょうか?

新卒採用のスケジュール

コンサルティング業界の採用はどこよりも早く始まる
コンサルティング業界の採用はどこよりも早く始まる
新卒採用のスケジュールは、大学3年生の秋口から活動が始まり、4年生の春先から夏にかけて内定となるという、基本的なフローは他の業界と同じ。ただし、コンサルティング業界の場合、優秀な人材を早くから獲得しようとするため、選考プロセスが他業界より若干早めであることが一般的です。

特に外資の戦略系のファームではそれが顕著です。戦略系のファームの場合、外資投資銀行と歩調を合わせるため、あらゆる業界の中でも最も早いスケジュールで採用が行われます。9月~10月の秋口からエントリーが開始、年明け早々に内々定となる場合も。

総合系ファームや業務/ITファームの場合、外資戦略よりも1~2ヶ月遅れてのスタートとなります。年末からエントリーが開始し、2~3月に面接、3~4月に内定というのが標準的なスケジュール。母体となる金融機関やグループ企業の採用スケジュールと歩調を合わせることが多いといえます。年末、年明けエントリーを開始、2~3月に面接、4月以降に内定が出るというものです。

新卒採用のプロセス

一般的な新卒採用のプロセスはどこのファームも同じで、次の4ステップになります。

  1. エントリーシート提出、書類選考
  2. 筆記試験
  3. グループディスカッション
  4. 個人面接
それぞれのステップについて、見ていきましょう。

1.書類選考
履歴書に加えて、ほとんどの会社でエントリーシートの提出が求められます。エントリーシートでは志望動機などに加えて、下記の例のような事前質問の記入が求められます。この内容が書類選考での重要な判断材料となるとともに、その後の面接でも参考にされます。

事前質問の例として、

「あなたがコンサルティングしたいと思う業界とその理由」
「これまでエネルギーを注いだことは何ですか。またそれが今のあなたにどのように影響していますか(800字)」(アクセンチュア)
「ピンチについて詳しくお書きください」(アビームコンサルティング)

などがあります。

2.筆記試験
コンサルティング業界で出される筆記試験は、一般的SPIのような四字熟語・読み仮名・常識テストではありません。論理思考力、データ読み取り能力、数理能力などを試すためのテストが採用されています。

国家公務員試験に出題される「判断推理」という論理問題や、法科大学院の共通テストで出題されるような論理判定の問題、または、米国の大学院に進学するためのGMATとよばれるテストから問題が出題されます。ファームの中には英語で試験を行うところ(戦略系ファームが多い)もあります。

また、CAB/GABというSEやコンサルタント職向けの適正検査を採用しているところも多いです。これらのテストでは、グラフを見て意味を読み取る問題や、暗号を一定の規則にそって解釈するような問題などがあり対策が必要。

「公務員判断推理」「GMAT」「CAB/GAB」はそれぞれ対策のための問題集が数多く発売されていますので、書店などで探してみてください。

3.学生複数人によるグループディスカッション
グループディスカッションでは、

「郵政民営化後の新事業を考えろ」(アクセンチュア)
「フリーターが増加傾向にある今、その数を減らすにはどうしたらよいか?」(アクセンチュア)

といった問題を複数人で議論します。基本的コミュニケーション能力、論理性、チームワーク、タイムマネジメント、リーダーシップなど、コンサルタントに必要な能力の有無の多くが、グループディスカッションを通して判定されます。

グループディスカッションは多くの企業の採用で導入されていますが、他業界と評価の視点が違う場合があります。コンサルティングファームでは答えの正確性よりも「答えにいたる過程で、論理的かつ生産的な議論ができたか」を重視します。

4.個人面接
個人面接においても、先般の「フリーターが増加傾向にある今……」的な問題が出され、面接官と1対1でディスカッションする「ケース面接」といわれる形式が行われる場合があります。外資戦略系のファームで採用されています。

もちろんケース面接ばかりではなく、通常の面接の場合もあります。その場合であってもエントリーシートなどをもとに「なぜ? どうして?」「その理由は?」「なぜ○○ではなく△△なのか?」「先ほどあなたが言った○○○と△△△はどういう関係があるのか?」といった具合に鋭い質問が浴びせられます。論理性、一貫性、説明能力、対応力など、高度なコミュニケーションが問われるといっていいでしょう。新卒の場合は特別なスキルがないため、コンサルタントの資質に関わる部分を中心に、採用の可否が判定されます。

新卒で入社するメリット

ガイドの私は、新卒でコンサルティングファームに入社しました。よく聞かれる質問で「新卒で入社すると不利なのでは?」というものがあります。私はそうは思いません。むしろ、新卒でコンサルタントに入社する場合メリットは2つあると考えています。

1つめは「実務経験がまったくないこと」です。デメリットの裏返しでもありますが、これは実は強みにもなり得ます。実務経験がないぶん、過去の経験や仕事のやり方にとらわれず、常にゼロからの発想で物を見ることができ、自由な発想ができるということ。何も知らないことが、コンサルタントとして逆に武器になることがあります。また、コンサルタント業界の独特のカルチャーや仕事の進め方に適応しやすいことが挙げられます。

2つに、昇進が早いということ。コンサルタントの昇進は「コンサルタントとして何年経験を積んだか、どのくらいのプロジェクトを経験したか」が重要。新卒入社は、誰よりも早くコンサルタントとしての経験を積めるわけですから、それだけ若くして昇進することができることになります。
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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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