[5]登記簿面積と広告表示面積の差がもたらす、落とし穴!
住宅ローン控除の対象となるのは、床面積が50平米以上の住宅であることは前頁でお話したとおりです。通常、私たちがマンションの面積を確認する手段は、広告やパンフレットです。住宅ローン控除など、税法上の床面積は「登記簿面積」を意味します。これは、壁の内側から測る内法計算です。一方、広告等の表示で使用されるのは「専有面積」で壁芯計算です。これは、壁の中心線を基準に面積を測定するものです。つまり、両者の測定面積には、壁の厚みの差が生じてしまい、[登記簿面積<専有面積]となるのです。
よって、広告表示上、50平米を僅かに超えた専有面積のマンションは、登記簿上の面積を販売担当者に確認する必要があります。事前確認を怠れば、あてにしていた住宅ローン控除が一切受けられず、税金の還付が受けられなくなってしまいます。「知らなかった!?」の落とし穴は、結果以上のダメージを受けるものです。注意ください。
[6]住宅ローンは「返済期間10年以上」が必要!
シングルライフのマンション購入では、親からの援助などを受け、住宅ローンの借入額を極力少なく、返済期間を極力短くするケースをよく見受けます。「少なく短く」の返済プランでは、支払利息を少なくできるメリットがあります。さらに、繰上返済などを併用するとその効果はさらに大きくなります。住宅ローン控除を受けるには、返済期間が10年以上必要です。10年未満では、住宅ローン控除は受けられません。それならば、と10年未満で完済できるにもかかわらず、住宅ローン控除を受けるために返済期間を10年以上に延ばす作戦は考えものです。
返済期間が長ければ長いほど支払利息が増えます。気になる方は、返済期間を長くすることにより増額となる利息額と住宅ローン控除の適用により戻ってくる税額を計算し、それぞれの合計額を比較してみましょう。試算すれば、どちらが得かがわかります。自分の条件で計算すれば、納得して選択することができます。
[7]最初は10年以上、繰上返済で期間短縮するとどうなる?
繰上返済の期間短縮型を実行した結果、返済期間が10年未満となった場合はどうなるのでしょうか。これは、以下のように考えます。[返済済み期間+残・返済期間≧10年]。つまり、繰上返済により期間短縮がなされても、返済済み期間と残返済期間のトータル返済期間が10年以上あれば、住宅ローン控除の対象です。
10年、11年、12年などの短期返済プランでは、期間短縮の繰上返済により、住宅ローン控除の対象外となることも考えられるので注意ください。
要件は他にもイロイロ。必ず、自分の条件で確認を
これまでみてきたように、「住宅ローン控除」とひとことで言っても適用を受けるには多くの注意点があることがわかりました。マンションの希望条件を考える際、住宅ローン控除の適用の可否がマンション選びの最優先事項にランキングされることはないと思いますが、住宅ローン控除の適用条件を事前知識として知っているか否かは、納得のマンション選びの重要要素です。ご紹介した以外にも、購入者本人の所得が3000万円以下であること、マンションを取得した日から6ヶ月以内に入居すること、などの要件があります。
確定申告の時になってはじめて「あっ、しまった」とならぬよう、落とし穴に落ちないポイントを事前に確認して、自分らしいマンション購入を実現ください。