前回、自分の最低賃金額を決めて、「この金額以下のギャラでは仕事を受けない」という勇気を持とう! と呼びかけました。でも、これって理想論であって、現実は厳しい。特に実績のないSOHOビギナーにとっては、はじめから満足いくギャラを確保するなんて至難の業です。私もつい数年前まで、自分の価格ラインをどこに定めるか頭を抱えていました。
●格安の仕事。でも、やる価値がある!
SOHOをはじめたばかりの頃、「予算の関係であまり原稿料は出せないのですが、記事を書いてもらえませんか?」という依頼が来ました。確かに安い・・・。でも当時に私は、ほとんど無名で実績も余りありませんでした。「よし、この仕事はひとまず受けよう。私の実績リストの項目が一つ増えれば、営業がやりやすくなるはずだから」──ということで、時給換算すると、最低賃金法で守られている価格より遙かに低いギャラで受注しました。
その結果、私の実績リストは項目が増え、別の仕事を得ることに大いに役立ちました。格安の仕事は、その時点では満足度の低い労働でしたが、それが次なるチャンスを生み始めると、何倍にも価値ある仕事へと変わっていったのです。
●肉を切らせて骨を切る!
複数の仕事が依頼されるようになると、時期が重なったものは私の方でセレクトするようになりました。そのときモノを言い始めたのが、私の最低賃金額です。いくら仕事は沢山ある方が良いとはいえ、なにせこの身は一つですから限界があります。いかに効率良く働くかを考えれば、当然ギャラの高いモノを優先させます。それに自分の体力も温存しなくてはなりません。となれば、自分の希望する額よりも低いギャラの仕事はあえて受注せず、その分は休息して別の仕事に備える、と考えるようにしました。
このやり方を繰り返していくと、自然に自分のビジネスの姿が明確になってきました。ここまで来るには、確かにギャラの少なさに舌打ちしたくなるような苦い経験もありました。が、それを正面から受けとめ、明日の営業力へ繋げていったことがポイントであったと思っています。
つまり格安の仕事でこの身を切りながら、本当に欲しいランクの仕事の骨を切りに掛かった──まさに“肉を切らせて骨を切る”勢いで望んだのです。