日本でSOHOというと自宅で働く独立自営業者という印象が強いので、SOHOに勤務というと「??」となるかも知れませんが、アメリカではSOHOという言葉はビジネスの形態に関わらず、ホームオフィスや小規模オフィスで働く人達を広く指します(規模だけでSOHOは語れませんが)。
ですから数人規模の会社もSOHO。SOHO勤めのテレコミューターというものありです。In-Stat社の調査結果によるとスモールビジネスやSOHOビジネス勤務のテレコミュータは、大企業勤めのSOHOよりもむしろ多いということになるのですが、大企業でもテレコミューターの登用には積極的で、大企業におけるテレコミュータの数は年間17%。IT業界にとっては有望なマーケットと見られています。
アメリカの労働者は転職を繰り返してキャリアアップをはかるという風潮が強いため、企業もいい人材を確保するために躍起です。充実したト福利厚生を提供したり、社内にフィットネスセンター、ゲームセンターなどを設けて少しでも会社の居心地を良くしたり--といった具合。バーを用意してビールを無料でふるまう会社さえあります。さすがにいっぱいやり始めるのはアフター5のようですが…
アメリカで多くの大企業がテレコミュートを認めるのも、いい職環境を提供し、いい人材を確保するための努力の一環と言えます。優秀な人材が育児のため、あるいは家庭の事情で遠くに引っ越しをするために退社というのでは企業にとって大きな損失です。自宅でできる種類の職務なら自宅で働いてもらえばという発想です。
日本では勤務評定がしずらい、円滑な人間関係が望みにくい、日本の住宅事情では在宅勤務に十分なスペースを確保するのは難しいの、などという懸念や懐疑の声も多いのですが、日立製作所や日本IBMなどが在宅勤務に積極的な動きを見せています。日本テレワーク協会によれば2001年のテレコミュート人口は295万人。アメリカに比べるとまだまだ少ない数字ですが、今後の増加が予測されます。
[日本テレワーク協会]
http://www.japan-telework.or.jp/
[日本障害者雇用促進協会:在宅勤務の現状について]
http://www.challenge.jaed.or.jp/qanda/zaitaku_m_q02.html
テレコミュート(テレワーク)はSOHOではないと感じる人が大いようですが、SOHOという言葉の背景がOA機器やパソコンの進歩と普及により個人や小グループの生産性が格段に向上し、活躍舞台も広がったということにある、と考えればテレコミュートもSOHOに入れてしかるべきだと思うのですがいかがでしょう。テレコミュートを可能にしたのはまさしくOA機器やパソコンの進歩と普及なのですから。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。