不動産が誰のものかを公に示すものとして不動産登記が存在します。この権利の登記といわれるものは義務ではありません。ですが、登記手続きを行うと、新築マンションを購入した場合は、もともとの土地の所有者からあなたへと登記が移ります(移転登記)。新築されたマンションでまだ誰のものでもない建物は、初めての所有者としてあなたの所有権が登記されます(保存登記)。M美さんは中古マンションなので、土地も建物も前所有者から登記が移転します。
M美さんはこの移転登記を自分でする、と言い出しました。そんなことができるのでしょうか。みてみましょう。
それは“もったいない”から始まった!?
覚悟していたものの諸費用の高さに愕然。「もったいない。何とかならないかしら」と減額プロジェクトがスタート |
購入時の諸費用には不動産登記にかかわるものが含まれていて、主には登録免許税と司法書士手数料です。担当者から購入にあたっての見積りをもらった際、マンション価格を交渉できたように諸費用の中に減額できるものはないだろうかとM美さんは考えました。
その結果、候補としてあがったのは不動産登記にかかわるものと火災保険でした。前者は自分で登記手続きを行うことで司法書士手数料分を減額、後者は知り合いに依頼することで少しでも安いものをセレクトする、そのようなプランです。
当初は、司法書士手数料も火災保険のように知人に紹介してもらうことで減額できないかと考えたそうですが、「自分でできそう」ということがわかり、それならば依頼するのはもったいない、とチャレンジを決意したそうです。
自分の不動産登記は自分でできる
不動産登記は司法書士という専門家でないとできない、M美さんはそう考えていました。「周囲にマンション購入の話をしていたところ、自分で登記手続きをしたという知人に出くわしました。法務局のホームページにも本人申請が可能であることや手続き方法の紹介まであることがわかったのです。オンライン申請もできるようです」と俄然その気になったM美さんです。
「司法書士の方を紹介してもらっても、やはり5万円ほどはかかるようです。であれば、仲介会社の見積りとさほど変わりはなく、少々の時間がかかっても良い経験だと考えて自分で手続きしてみよう」そう決意したM美さんでした。
ただ、不動産登記は自分だけではできません。前所有者からの登記の移転なので売主側の協力が必要です。「担当者に売主さんの司法書士事務所の連絡先を聞き、司法書士の先生に自分で手続きする旨を伝えました。すると、提出するだけでよいように資料を作成しようと言ってくださって、本当にありがたかったです」と。あとはM美さん側の資料を準備するだけです。
決済時に売主側から必要な書類を受け取り、それから自分側の必要書類をそろえて余裕のあるときに手続きにいこう、そうM美さんは考えていました。ところが、それが非常に甘い考えであることがわかりました。それはいったい?次ページをご覧下さい。