■税制改正の全体像
暗雲立ち込めた日本経済、いまだに出口が見えませんが先の経済財政諮問会議で「税制改正の全体像」について言及しています。
1)研究開発やIT投資に対する減税
2)相続税・贈与税の一体化
3)土地税制の見直し
4)証券税制の見直し
5)消費税の免税店制度・簡易課税制度の改革
6)配偶者特別控除や特定扶養控除の廃止・縮減 など
住宅関連では2と3が該当します。土地税制の見直しは毎年のように論議されますが今回も「不動産取得税や登録免許税の手数料化、あるいは軽減・廃止」という内容で、目新しいものではありません。
土地に対する消費税を非課税扱いするのなら、居住用に限っては建物も消費税を非課税にするのが一般消費者にはインパクトがあり、かつ、ストレートに購入促進へつながりやすいと考えておりますが、こうした論議は微塵もないのが残念です。
■(仮称)相続時精算課税制度(案)の骨子
親世代の財産を子世代へ移転させることで個人資産を流動化させ、同時に子世代の住宅購入を促進させることを目的とした(仮称)相続時精算課税制度(案)についてご説明いたします。
◆概 要
生前贈与を受けた者で一定の要件を満たすものについては、選択により贈与時に贈与財産に対する贈与税(税率は軽減されます)を支払い、その後の相続時にその贈与財産と相続財産とを合計した価格をもとに計算した相続税額から、すでに支払った贈与税を控除します。
例えば、子Aが父から贈与を受けてその時点では贈与税を30万円支払ったとします。その後、父が亡くなり相続が発生した際に、Aが相続した財産に対して相続税が100万円かかるとすると、相続時精算課税制度を選択していた場合には贈与時にすでに支払っている贈与税30万円を差引いた70万円を相続税として納めれば納税が完結するようになります。
◆一定の要件~適用対象者~
- 当該制度の対象となる贈与者(財産をあげる人)は、贈与を行う年の1月1日時点で満65歳以上のもの。
- 当該制度を選択できる受贈者(財産をもらう人)は、当該制度を選択する時点における贈与者の子で、かつ、贈与を受けた年の1月1日時点で満20歳以上のもの。
- 制度の適用を受けるには、贈与を受けた年の翌年3月15日までに税務署へ本制度を選択する旨の届出を必要とする。
⇒当該制度を選択するかしないかは受贈者が自由に決められます。 - 最初の贈与の際に届け出をおこなえば、相続時まで本制度の適用が継続される。
- 本制度は受贈者である兄弟姉妹が別々に、贈与者である父・母を区別して選択が可能。
⇒父、母、子A、子Bの4人家族とすると「父とA」「父とB」「母とA」「母とB」という4パターンが成立し、子供は当該制度を各パターンごとに自由に選択することができるようにしています。