2001年に整理合理化計画をうけて、住宅金融公庫は2006年に独立行政法人へ移行することが予定されています。その影響を受け都市銀行から信用金庫・さらに農協までが住宅ローン市場へ参入してきています。ローンを証券化して投資家へデフォルトリスクを転嫁することで長期・固定のローンを発売するなど、ひと昔前の変動金利一辺倒からくらべ、住宅ローン市場も様変わりの様相を呈してきました。
ローンの利用者にとってはうれしい傾向ですが、融資条件にはいまだ高いハードルがあり、公庫のように誰もが簡単に融資を受けることは出来ていません。そこには見えざる貸し手の論理が存在するからで貸し渋りは中小企業だけの問題ではありません。
■なぜ個人向け住宅ローンへ参入したがるのか?
本題に入る前に、金融機関が個人ローンへ積極的に力をいれている理由について考えてみましょう。
現在の不景気の“諸悪の根源”とされる不良債権は企業への融資債権が焦げ付いてしまい回収が困難となっていることによりますが、その点、個人への融資は企業にくらべ貸倒れリスクが低いとされています。要するに取りっぱくれが少ないため、企業より信用度が高い(?)といえます。
さらに個人への住宅ローンは20年~30年と長期融資となるため、5年・7年程度で完済する企業融資にくらべ利益率が高くなっています。30年ものローンを組むと総返済額は元本の2倍程度となることからも個人融資は“おいしい”ことがわかります。
また、新規に口座を開設させることが可能となり給与振込みや各種決済の利用へ誘導しやすくなることも理由のひとつとなっています。
・貸倒れリスクが少ない ・法人融資にくらべ個人への融資は利益率が高い ・融資引き落しのための決済口座を開設してくれる |