なぜ「多様性理解」の有無が就職活動に影響するのか?

多様性理解
多様性理解を身につけるには、複数の人と話すことを続けるとよい。もちろん、聴く耳を持って。
「多様性理解」とは、現代の企業で重視されている「ダイバーシティ(diversity)」への理解である。「ダイバーシティ」とは、職場環境における「多様性」のこと。性別や国籍、言語、雇用形態など多様な属性の人々と配慮しつつ協働することで、プラスの効果を引き出す概念だ。

リクルートワークス研究所が分類した基礎力の分類で言えば、対人基礎力の中の、親和力(一緒に働く仲間と信頼関係を築く力)の中の一つだ。また、自己分析・適職発見プログラム「R-CAP」の分析指標で言えば、GIAL(環境適応指標)の中の「多様性(様々な人や環境に触れたい)」を指す。

「多様性理解」が就職活動に影響を与えていることは、2004年に発表された「学生パーソナリティと就職活動特性~呉大学生調査に基づく実証分析~」(呉大学ネットワーク社会研究センター研究年報)の中で、呉大学生4年生のうち、「8月まで内定を得た学生」と「途中で就職活動を辞めた学生」及び「2月まで就活中の学生」とR-CAPの二つの指標を比べた結果、「多様性」に最も差が出ている事実が示唆されている。また、2006年に松村直樹氏が「R-CAPから見える大学生の就業志向~社会の要求とは裏腹に強まる安定志向・弱まる専門志向~」(カレッジマネジメントvol.139)の中で、明海大学3年生向けプログラム「マイキャリアゼミ」にてこの二つの特性を向上させた結果、「マイキャリアゼミ」を履修していない学生に比べ、非常に速いスピードで内定を獲得し、結果、就職率95.6%となった事実を示している。

先日、その松村氏とそれをテーマに話し合った結果、「多様性理解」の有無が就職活動に影響を与えている理由を、以下に整理できた。

  • 面接やグループディスカッションの成果に直結する。
    面接官はどんな人か分からない。どんな質問をしてくるかもわからない。また、グループディスカッションもどんな学生とチームを組むか分からないし、どんな課題が出るかもわからない。そんな予期せぬ出来事に柔軟に対応できるかが、そのまま合否に繋がること明らかと言える。面接官や他の学生の年齢や性別や性格、そしてどんな質問・課題が出ても対応できる引き出しの多さ、懐の深さ、それがすなわち「多様性理解」なのだ。
     
  • 「やりたいこと」の選択肢が拡がる。
    「やりたいこと」は「やってみなくちゃわからない」のだ。まだしてもいないのに、ある業界や仕事にこだわるのは自らの可能性を否定することだと今までも述べてきた。しかし、「何でもやります!」でも困る。そのバランスを取れる、すなわち縁あって吟味する機会を得た企業において、自らやってみたいと思える仕事を探し出せる力こそ、「多様性理解」なのだ。選択肢が拡がれば、絶えず受験する企業を意志を持って選ぶことができ、就職活動を根気よく続けることができるのだ。
     
  • そもそも企業はその力を最も求めている。
    中途採用は「経験」を評価して合否を決めるが、新卒採用はその学生の「可能性」を評価して採用を決める。よって「何ができるか」ではなく、「学んで一人前に働けるのか」をチェックしているのだ。具体的に言えば、入社後すぐに辞められては困るし、与えた仕事に対しいちいちより好みされても困るのだ。どんな仕事に対しても前向きに挑める学生、何でも吸収してすくすくと主体的に成長できる学生こそ、企業は欲しいのだ。

「多様性理解」。言い換えれば「柔軟性」の高い学生こそ、企業は欲しているのであり、その力を有する学生こそ、志望企業の内定を取ることができるのだ。


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